8月1日
昨日書きそびれていたこと。ツイッターとインスタグラムで、一日に何度か「水納島」をキーワード検索しているのだけれど、ここ数日はなんだか怪しげな投稿が出てくる。たどっていくと、「沖縄リゾート島(みんな島)100人プレゼント企画!!」と書かれた画像が表示される。投稿の本文には、「沖縄みんな島招待と1人ずつ1万円/合計100万円プレゼント」とある。典型的なプレゼント詐欺の手口だけれど、引っかかるのは島でビーチハウスや海色アクティビティ、パーラーとログハウスを経営する業者もタグづけされていること(その会社は――こういう線引きをぼくがするのもおかしな話ではあるけれど――島外の人たちが経営している)。投稿を読んでも、「みんな島招待」として具体的に何がプレゼントされるのかもわからないし、「水納島」という名前よりも「沖縄リゾート島」という言葉をメインに使っているところも、なんだかなあと思ってしまう。この「キャンペーン」に申し込んでいるアカウントを見ると、その人もまた数万円規模のプレゼント企画を開催していて――と、暗闇を覗き込んだような心地がする。
7時頃まで眠ってしまう。たまごかけごはんを平げ、コーヒーを淹れ、新聞を読む。購読しているところに自分が寄稿した原稿が載っていると、不思議な心地がする。今週選んだのは『味な店 完全版』。なぜか自分のような書き手が読書委員をやることになったのだから、自分が読書委員に入っていなければ書評が出なかったかもしれない本を――ただし、「どうです、こういう変化球もいいでしょう?」みたいに選ぶというのではなしに、あくまでど真ん中の球として放る、ということはずっと心掛けている。この本を書店で見かけたときに、まずは幅の広さに圧倒された。飲食店を取材した本というのは、好みというのか匂いというのか、編んだ人の傾向が見えることが多い(それが編者の声であることもあれば、目配せであることもあるけれど)。でも、この本はもっとこう、縦横無尽にいろんな飲食店に足を運び続けている感じが伝わってきて、その好奇心と行動力に圧倒された。ただ、神戸の飲食店を訪ね歩いた「映えない。」という回は、テーマで切り取ることが先走り過ぎたのか、どこか取材先をネタとして消費してしまっているきらいが見受けられる(微妙に話はズレるのだけれども、取材先で撮影した写真に、「まずそうな商品サンプル」という言葉を添えるところは受け入れられない)。ただ、この「映えない。」の初出は2019年2月号で、その前月号には「姉妹よ。」と題して、神戸の喫茶店をじっくり取材した記事が出ていて、こちらはネタとして消費した感じがまったくなかった。もしもこの2回の取材が、1回の「出張」でおこなわれたものだとすれば、それがひとつの転機になったのではないかと、あとがきを読んで思った。
新聞にざっと目を通すと、ゆうえんちを経営しながら「東京の古本屋」を読み返す。お昼頃になって、ようやく原稿の修正が終わり、メールで送信。知人はちょこっと仕事に出かけたので、お昼はひとり、納豆オクラ豆腐入りそば(冷)。午後は『G』誌の最終回に向けたテープ起こしを少し進めておく。20時に晩酌を始める。知人が買ってきてくれた惣菜(海老しんじょや南蛮漬けなど、日本酒に合いそうなもの)をツマミに、オリンピックの陸上競技を眺める。100メートルハードル女子に出場している選手たちは、あちこちにアクセサリーをつけていたり、ピンク色のおしゃれなテーピングを使っていたり、見惚れる。スポーツは妙にストイックさが求められがちだけれども、最高のパフォーマンスを発揮するためには、自分をアガる状態におくことが大事なのだとよくわかる。三段跳びの女子決勝、自分に暗示をかけるように過ごす選手たちの姿。
100メートル男子決勝は21時50分頃に始まる。選手がレーンに登場したところで会場が暗転し、コースを使ったプロジェクションマッピング(?)が始まる。これから走るコースでこんなことしたら選手の集中力が切れてしまうのではと思ったけれど、選手たちは特に動揺することもなく、スポットライトを当てられた選手たちはテンションが上がっている(普段オリンピックを観ないから知らなかっただけで、毎回こんな演出があるのかもしれない)。昨日、円盤投げの選手を観て市場のいそうな雰囲気だと書いたけれど、それを最初に感じたのは100メートルのイタリア代表の選手だった。さほど体を前傾させるのでもなく、腕を大きく前後させるのでもなく、走る。その選手は決勝にも残っていて、トップで100メートルを走り抜ける。