9月9日

 5時過ぎに目を覚ます。朝の情報番組をつけっぱなしにしていると、総裁選に出馬した高市早苗の映像が何度も何度も流れてくる。「使命」や「国家」や「名誉」という言葉を発するときの、嬉しそうな顔。げんなりする。今週日曜に掲載される書評について、指摘をもらっていた箇所について朝から頭を悩ませて、加筆する。「国家権力への挑戦」という副題と関連する指摘をもらっていたのだけれども、本文を読む限り、国家権力が問題だったというより、当時の記者と、アメリカ国民の関心がそこに向いていなかったということなのだろうなと思う。その点に言及できるように修正し、メールで送信。

 午後は機内誌『c』のテープ起こしに取り掛かる。ほとんど捗らず。夕方になって、今後の行動を練る。もう少ししたら『東京の古本屋』が刷り上がり、サイン本を作って欲しいと日程の相談をしているところだ。書店に並び始めるのは9月25日あたりからだとすると、そこから10月半ばくらいまでは、もしも「著者インタビューを」となったときにすぐ応じられるように、東京にいたほうがいい気がする。それに、10月上旬にはワクチンの2回目接種もある。今月のRK新報の連載は休載としてもらっているけれど、10月末にはまた掲載日がやってくることを考えると、9月のうちに沖縄に行っておいたほうがいい気がする。飛行機の予約画面から、席の埋まり具合を確認すると、わりと空いているようだ。今度の日曜日には大阪でライブを観る予定があり、飛行機を手配してある。成田→大阪→成田と引き返すのではなく、成田→大阪→那覇→成田という旅程にしたほうがいいんじゃないかと、ぼんやり日程を練る。

 17時過ぎ、雨が上がっていたので散歩に出る。「往来堂書店」を冷やかして、やなか銀座に出る。酒屋さんの前に人の群れが見える。そこでよく生ビールを飲んでいたけれど、最近すっかりご無沙汰している。そこに近づくかどうか、賑わいをみると躊躇してしまう。今はビールが提供されているのかどうか、以前の透明のプラカップではなく、茶色い紙コップをお客さんたちは手にしている。結局踵を返し、角の惣菜屋さんでアジフライを買って、よみせ通りのキムチ屋さんでいかの塩辛を買う。「このあとバスとか電車に――は乗られませんね」と、部屋着のまま立ち寄ったぼくの姿を見て、お店の人が言う(バスや電車に乗るお客さんには、しっかり匂い対策を施してくれる)。

 もう少しだけ足を伸ばし、肉屋の「腰塚」にも立ち寄ってみると、レトルトカレーが並んでいるのに気づく。「腰塚」のであればきっと美味しいだろうし、レトルトカレーなら贈ってもそんなに気を遣わせなくて済むだろうと、5個買う。クロネコヤマトの集配所にも立ち寄って、小さい段ボールを買って帰り、水納島に『群像』とレトルトカレーを送る手配を済ませておく。19時半に帰宅した知人と晩酌。過去の名作ドラマを見返そうと、Huluを漁っていると、『Mother』が入っていた。知人は観たことがないという。僕はこのドラマに感銘を受けて、北海道に出かけたときに室蘭に立ち寄ったこともある。さっそく1話を再生すると、記憶にあった以上にヘヴィな話だ。知人は「もうここ(1話が終わったところ)でドラマが終わりでええやろ」と、号泣している。