9月10日

 4時過ぎに目を覚ます。今更だが、毎晩晩酌をしているせいで睡眠の質が低いのではないかという気がしている。しかも、こうして起きてしまってから二度寝するまで、大抵の場合ケータイをいじっている。朝、コーヒーを淹れて知人を見送ったのち、風呂に湯を張り入浴。湯に浸かりながら書評するか迷っている本を読んだ。どう捉えるかは難しいところだけれども、面白くてスイスイ読み進む。少し前に、焼きそばの店「あぺたいと」の焼きそばレシピが出ていたのが気になって、お昼は焼きそばにした。帰宅したあとで、長ネギではなく青ネギが必要だったのだと気づいたけれど、長ネギバージョンもそれなりの味になる。やっぱり、今まで我流で作っていた焼きそばは、野菜が生っぽい状態で仕上がるのを嫌がるあまり、炒め過ぎてべちょべちょになっていたのだなと再確認する。

 今日は良い天気だ。お昼の食材を買いに出たときも、半袖でも暑いぐらいで、今日は30度に達する見込みだとテレビが言う。でも、なんだろう、歩きながら「騙されないぞ」という気持ちになる。またどうせすぐに寒くなるのだから、体調を崩さないように用心しないと。そんなことを思っていると、もう若くはないのだなと思う。14時過ぎにアパートを出て、千代田線で新御茶ノ水へ。秋葉原駅近くまで歩き、久しぶりでPCR検査を受ける。受付で、スタッフの男性に話しかけられる。福岡や沖縄や、一部の地域に飛行機で向かう予定がある人は、政府のモニタリングなんちゃらの対象となるので、航空券を提示してもらえれば検査費用が無料になると告げられる。まず、話しかけてくるスタッフが(いくら不織布マスクをしているとはいえ)距離が近く、あまり長くやりとりしたくなかったのと、去年の秋から何度となくPCR検査を、それも誰かに頼まれたわけでもないのに繰り返し受けてきた自負みたいなものもあるので、政府に払ってもらう必要はないという気持ちが芽生えて、お金を払って検査を受ける。自分の中にそんな気持ちがあるんだなと、ちょっと不思議な感じがした。

 都営新宿線で神保町に出て、新刊書店を流す。靖国通りを渡り、古書会館に向かうと、タクシーを拾おうとしている人たちを見かける。そのうちのひとりはUさんだ。数ヶ月前に「取材させてもらえませんか」とメールを送ってやりとりしたこともあって、声をかけ、あまり足を止めてしまわない範囲で「その節は突然メールをお送りしてしまって、、」と挨拶しながら通り過ぎる。古書会館で、連載のときにお世話になった広報のOさんにお礼を伝える。「本が出来上がるの、楽しみにしてます」と言ってもらえて嬉しくなる。坂を上がり、御茶ノ水へ。タクシーが4台連なって停まっている。マスクを外して待機しているのが3台、つけたまま待機しているのが1台。「丸善」を覗くと、ノンフィクションフェアが展開中だ。当然ながらぼくの本は入っていなくて、ノンフィクションの棚にも在庫はなかった。そっと店を出て、正面に「博多天神」が見える。酔っ払ったあとに食べる「博多天神」ってたまらなかったなあ。過去形で思う。扉は開け放たれていて、ちょっと屋台みたいだ。カウンターでラーメンをすする人たちに、しばらく見惚れてしまう。