10月9日

 7時過ぎに目を覚ます。冷凍ごはんを切らしていたので、春雨ヌードルで朝ごはん。昼は出前館で「餃子の王将」の醤油ラーメンと天津炒飯を注文し、ビールを飲みつつ平らげる。午後は原稿を練る。16時過ぎ、知人と一緒に散歩に出る。やなか銀座の「E本店」は大繁盛だ。ビールを買って、やなか銀座の人混みを縫うように歩く。夕やけだんだんを上がると、そこも大賑わいだ。路地に入り、知人に写真を撮ってもらう。富士屋ホテルに向かう路地にある青いトタンの前で知人に撮ってもらった写真を、ここ数年はプロフィール写真に使ってきた。でも、この界隈は再開発されることになって、もう青いトタンは取り外されていて、富士屋ホテルへと続く路地は関係者以外立ち入り禁止になっている。夕やけだんだん上が賑わっているのは、緊急事態宣言が取り下げられた影響もあるのだろうけれど、再開発を前に今の風景を惜しむ人たちが集っているからだろう。

 そこを通り抜け、東に折れ、路地を歩く。ヒマラヤ杉を見て、再開発が取り沙汰されている坂に出る。再開発ということに対して、ぼくは言葉を持てずにいる。よそものに過ぎない自分が、ある土地に対して、何か言えることがあるだろうか。再開発されることに対して惜しまれる場所と、ほとんどの人に関心を払われないまま変わってしまう場所があるなかで、どんな言葉を持てばよいのかわからなくなる。それに、すべてが昔ながらの風景のままだったら、ぼくがこの土地に住む余白は生まれなかっただろう。だからといって、一部の人たちによって街がむちゃくちゃに改造されていいと思っているわけでは全然ないのだけれども、街の変化に対して、うまく言葉を持てずにいる。すっかり暗くなった街を歩き、家に帰ってくる。夕食はキッチンで立ち食い焼肉にした。最近はずっと、『おかえりモネ』をNHKオンデマンドで観ている。細かいツッコミを入れたくなる箇所はあるけれど、よくできたドラマだ。世代と時代が、フィクションにうまく落とし込まれている。観ているあいだ、「では、ノンフィクションにできることは?」と考える。