10月20日

 7時過ぎに目を覚ます。コーヒーを淹れて、洗濯機をまわす。玄関に置いたままになっていたスーツケースの荷解きをしているうちに、知人も起きてくる。9時過ぎに知人を見送ったのち、風呂に湯を張り、数ヶ月前の『文學界』を引っ張り出して、島田雅彦の原稿を読み、同じ号に掲載されている黒田夏子の短いインタビューを読んだ。まだ風呂から上がるには早く、なんとなく『海辺の光景』を読み始める。

 11時過ぎに風呂から上がり、荷解きの続きをする。2台あるはずのICレコーダーのうち、1台が見当たらず、焦る。単に録音するだけでなく、原稿をコンビニでプリントアウトするときにUSBメモリがわりに使ってもいて、ポケットに入れて出歩くこともあるので、どこでなくしたのかも判然としない。まあでも、石垣島に向かうときまでは持っていたはずだからと、ホテルに問い合わせてみると、「ああ、ソニーのやつですか?」と一発で居場所が判明する(忘れ物が部屋に残っていたのなら電話してくれればいいのにと、客目線だと考えてしまうけれど、いちいちそんなふうに対応していたらとても仕事がまわらないであろうことは、自分にも想像がつく)。

 いくつか今後のスケジュールに関する連絡があり、混乱する。それを調整したりさばいたり、洗濯機をもうひと回転させたりしているうちにお昼だ。東京はすっかり肌寒くなっていて、昨晩は正直毛布が必要な寒さに近づいていた。今日は天気がよいので、毛布も洗濯してしまおう。一度洗濯機に突っ込んでみたものの、ぎりぎり収まるサイズだったので「これでは洗えないのでは」と思い、自転車を1階におろしてコインランドリーまで洗いにいく。洗濯をセットして、コインランドリー近くのファミリーマートで納豆巻きとどん兵衛の特盛(近所のセブンイレブンだと普通盛りしか売っていない)を買って帰り、お昼を平らげ、30分経ったところで乾燥機に移し、20分後にまたコインランドリーまで自転車を走らせ、少し濡れた状態の毛布を引き取って帰ってくる。最後の3往復目のときには、もう幼稚園が終わったのか、公園にちびっことお母さんが溢れていた。近所にいるのに、全然知らないコミュニティがある。知らないことばかりだと思いながらも、まだ水分が残った毛布は重く、そのまま走り去る。

 少し気持ちを落ち着かせて、原稿を考える。古書組合から「メルマガ掲載用に」と依頼を受けていたもの。本当は昨日が締め切りで、数日前からずっと「あの原稿を考えなければ」と思っていたものの、沖縄の風景を前にしていると考えが別の方向に向かってしまって、書けないままでいた。17時にようやく書き終わり、メールで送信。しばらく横になってぼんやりしたあと、18時にビールをプシュっとあけて、毛布にくるまりながら『海辺の光景』を、ほんとうにちびちび読み進める。

 沖縄で「晩酌に」と買ったまま手付かずになっていた乾き物がいくつかあり、そのひとつ、ファミマの「スパイシーなジャーキー」を噛みつつ読書。13グラムしか入っていない小さなパック。たぶんビーフジャーキーは細かく噛みちぎりながら大事に食べるものなんだろうけれど、いつもがつがつ食べてしまう。ちびちびというのができない。あっという間に食べ終わってしまって、あれ、まだちょっと膨らみがあるなと袋の中に手を突っ込むと、残っていたのは乾燥剤だった。

 20時過ぎに帰宅した知人と晩酌。ツマミはかまぼこ。たらし揚げというタイプのかまぼこの中でも、ピバーツ入りのものが美味しい。お店の歴史を知人に説明したのち、『有吉の壁』と『水曜日のダウンタウン』を立て続けに観る。