12月14日

 17時過ぎ、クリーニング屋でジャケットとコートを受け取り、それを羽織って出かける。まずは秋葉原PCR検査。もうすっかり慣れたつもりになっていたけれど、受付方式が変わっていて、「もう情報はご登録いただいてますか?」と尋ねられて慌てる。過去に感染したことはあるか、発熱などはあるか等のアンケートに加えて、もしも陽性だった場合に指定の医療機関にかかることへの同意書。これまでは現地で書類に記入していたけれど、ウェブで事前に手続きをする方式に変わっていたようだ。急いでフォームに記入したのち、唾液を提出する。

 山手線で神田駅に移動し、Googleマップに従って歩く。駅に向かって歩いてくるサラリーマンが大勢いる。道の両脇にはずらりと飲み屋が続いている。こういう場所もあるのだなあ。普段見ているのとは別世界のようだ。サラリーマンの姿が見えなくなったあたりで大通りに出て、信号を超えると、KKRホテル東京が見えてくる。今日はここで読書委員会の懇親会が開催される。去年は感染が拡大している時期だったので、いつもの会議室に集まってそれぞれ挨拶をしただけで終わったけれど、いつもはここで開催されるのだという。

 立食ではなくテーブルにつくスタイルだというので、一番隅っこの円卓に座る。隣になったのは、同じく去年から委員を務めてきた方で、年少寄りだったこともあり、隣の席になる機会も多かった。まわりには記者の方が座り、18時半になると乾杯の挨拶。シャンパンで乾杯すると、次から次へと料理が運ばれてくる。早く皿を片づけなければというのと、テーブルマナーに慣れないのと、張り巡らされたアクリル板で声がかき消されるのとで、とても忙しない気持ちになる。しばらくビールを飲んだあと、白ワインに切り替える。まずは来年も続投される委員の方の挨拶があり、間を置いて、今年で任期を終える委員の挨拶がある。委員の任期は基本的に2年なので、ぼくもこちら側で、どんな話をしようかと緊張する。そんなことで緊張している委員は僕ぐらいのものだろう。

 最初に打診があったとき、「ご都合のよい場所まで伺います」と言ってもらったものの、きっと別の誰かと間違えて依頼があったのだろうと思うと足を運んでもらうのは申し訳なくて、こちらから新聞社に出向いたこと。どうやら間違いではなかったことがわかり、身を引き締めつつ、毎回15分前には会議室に到着して、一番乗りでじっくり本を眺めたこと。また、委員会の端っこには缶ビールが数本置かれていて、(委員の何名かは)ビールを飲みながら議論するのが伝統らしく、その伝統を絶やさないようにと、いつも編集委員のH.Gさんがビールを手に取り、続いてN.Tさんがプシュッと開けたのを確認してから、缶ビールをそっと取ってきて飲んでいたこと。去年まで委員を務められていた方だと、S.Yさんもビールを飲んでいたひとりで、Sさんはよく自分で本を持ち込んで、自分で書評するつもりがなさそうな本でも皆に回し、回覧してもらっていたこと。去年の懇親会の場で、その理由を尋ねたところ、そうしてたくさん回覧してもらうことで活性化させられたらと思っていたのだと語っていたこと。今年はリアルで開催される機会が少なく、「たくさん回覧させる」という部分は引き継げなかったけど、委員会に並ばなそうな本でも「これは」というものを書店で探してきて、回すようにと心がけていたこと。緊張しながら話す。