12月27日

 8時過ぎに布団から這い出し、コーヒーを淹れ、卵をお椀に割って、とりあえずゴミ出しをする。年内の燃えるゴミの日は、今日を含めて2回だ。知人を見送ったあと、届いていた『Coralway』最新号をぱらぱらめくっていると、読者投稿欄に僕の連載に対する感想が掲載されているのに気づく。「とても印象に残りました」「さらっと書いてありますが、戦争でご家族を亡くされたり、そこから復興したり、非常にご苦労をされて伝統の味を守られていることが伝わりました」とあり、嬉しくなる。

 11時過ぎ、クロネコヤマトが集荷にやってくる。実家に送る本、段ボール4箱。3箱はすでに1階に下ろしてあったので、入り口のオートロックを解錠し、手続きを進めてもらっているあいだに最後の一箱を取りに行く。よいしょっ。はあ、重たいのう。配達員の方に聞こえそうな距離で独り言をつぶやいてしまう。最近独り言が増えていて、テレビに向かって話すことも増えている。

 昼はキャベツと鰹の塩辛でパスタを作る。14時に家を出て、明後日の大阪行きにそなえてPCR検査を受けておこうと、秋葉原へ。駅を出て、唾液を検査センターに歩いていると、「リマインダ:PCR検査予約日は明日です」というタイトルのメールが届く。間違えて明日の予約をとってしまっていた。当日でも受けられないかと、念のために検査センターに行ってみたものの、表に10人近い行列ができていて、「予約で一杯」と表に看板が出ている。明日受けても、明後日の夕方まで(イベントに参加するまで)には結果が出るだろうけれど、新幹線の乗車時刻には間に合わないかもしれず、そわそわする。

 東京駅に出る。明後日の大阪行きの新幹線の切符は、JR西日本の「e5489」というサービスで予約していた。JR東日本の「えきねっと」だと、東海道新幹線はざっくりしたエリアしか選択できず、細かい座席指定ができないので、JR西日本の「e5489」を使って予約していた。ただ、「e5489」だとJR東日本の普通の自動券売機では発券できず、東京駅など一部の駅に設置されているJR東海の券売機でだけ発券ができる旨、予約時に注意書きが表示されていた。当日に慌てずに済むようにと、東京駅の新幹線改札口まで発券しにいく。窓口には50人以上の列ができていて、行き交う人で混み合っている。マスクをあごにずらして歩く人もいて、おーお、よくここでマスク外せるなあと思う。その人が感染していないとしても、オミクロンの市中感染が報じられているのに、「こんなに大勢の人が(しかも全国各地から集まった人たちが)行き来する場所だと、感染させられるかも」と不安になったりしないのだろうか。

 新幹線改札口近くの券売機を操作する。予約してあるのは、明後日からの大阪往復と、年明けの広島往復だ。つまり4回の新幹線の予約があり、往路については往復乗車券も一緒に予約してある。特急券のみ申し込んだ復路はいずれの旅程も発券できるのだが、往路はいずれも選択できなくなっていて、係員のいる窓口でお問い合わせくださいと表示されている。この券売機は対応していないやつだったのだろうかと思いつつも、とりあえず復路だけ発券する。別の券売機で操作しようとしても、やはり「窓口へ」と表示されて終わってしまう。

 窓口には長蛇の列ができている。ええ……さすがにあれに並んでしまうと、何のためにネットで予約したのか意味がわからなくなる……と思っていたところで、券売機の「よびだし」ボタンを押して、券売機脇の小窓ごしに係員とやりとりしている人を見かけ、ああ、それだ、とボタンを押す。どうやら「e5489」の場合、乗車券と一緒に予約したぶんは当日にならないと発券できず、今日発券したい場合は改札外にあるJR東海の券売機を使う必要があるのだと教えてもらう。案内されるままに八重洲南口に出て、券売機を探し、どうにか発券する。

 なんだかどっとくたびれてしまった……。どうしてこんなことになったんだろうと調べてみると、同じJR西日本からの予約でも、スマートEX(?)を利用すれば、チケットを発券せずともモバイルSuica特急券を入れることができて、スムーズに乗れるらしかった。特にコロナ禍になってからは新幹線を避けるようになっていることに改めて気づく。飛行機に比べるとマスクを外して談笑している人の割合が多い印象があって、飛行機だとCAさんが注意をするのに対して、車掌さんは特に何も言わずに通り過ぎてしまうので、どうしても不安がぬぐえず、わりと飛行機で移動することが増えている。最近は関西でも飛行機で向かうことが増えていて、新幹線の切符を手配する勝手がわからなくなっている。……というようなことをツイートすると、すぐに知人から「スマートEX一択やろ」とLINEが届く。

 家にたどり着いてみると、入口に松飾りがくくりつけてあるのに気づく。帰宅後、急いでおでんの仕込みに取り掛かる。今日はもう時間がないので、大根の仕上げにこだわるのはやめる。18時過ぎに知人が帰宅。どうにか大根にもある程度は味を染み込ませて、19時半から晩酌。大根、玉子、こんにゃく、厚揚げ、つみれ、さつま揚げ。ビールを飲んだあとは樽酒に切り替えて、『ロッキー3』を観る。すっかり“アメリカン・ドリームを掴んだ男”になってしまったロッキーに、若くてハングリー精神に満ちた挑戦者が現れ、ロッキーも初心に帰り――と、『2』に続いて、まあそういう展開になるでしょうねと思ってしまう、いかにも続編という展開だ。だからといって「つまらない」というわけではないけれど、『4』へのハードルが上がっているような、逆に下がっているような、どちらとも言い難い気持ち。内容とはまったく関係なく、ハルク・ホーガンが登場して「わ! ホーガンだ!」と立ち上がってしまった。