1月1日

 6時過ぎに目を覚ます。新年。6時40分頃になると、つけっぱなしのテレビで初日の出の中継が始まる。富士山の向こうに稜線があり、山際がだんだん黄金色に輝き出す。CMを挟んで、6時45分頃に初日の出を迎える。圧倒的なひかりに、少しずつ世界が明るく照らされる。たった今世界が生まれているような、そんな気持ちにさえなる。知人は興味なさげに二度寝する。スタジオにいるアナウンサーも、「ずっと観ていたいくらいですねえ」と言う。画面にかぶさるようにスポンサーの名前が表示され、再びCMに突入してしまった。チャンネルをTBSからフジテレビに切り替えて、今年はオープニングから『爆笑ヒットパレード』を観ることができて嬉しい。

 8時過ぎ、朝食の準備をする。ガスコンロを点火する前に、あ、そうだと思い直し、知人を呼ぶ。小さい頃は、母親が台所や洗面所にも鏡餅を飾っていたし、沖縄ではヒヌカン(火の神)の御願もある。僕自身にさしたる信仰があるわけではないけれど、なんとなく、知人に「今年の火の使い始めをするで」と告げてから、鍋に湯を沸かす。こないだ新大阪のセブンイレブンで目に留まって買っておいた「千とせ」のレトルト肉吸い(2パック)を温めて、冷凍しておいたごはんを解凍する。いつもは3分で解凍できるのに、3分経っても冷たいままだ。もう2分温めてもまだ冷たい。新年早々壊れてしまったのかと思ったが、もう2分温めててみたらホカホカになった。

 「爆笑ヒットパレード』を眺めながら、肉吸いとたまごかけごはんを平らげる。蛙亭のネタ(牛丼屋のやつ)と空気階段のネタ(電車で怒っているおじさんのやつ)は、正月にやってくれてよかったなあという感じがする。やさしい世界だ。「正月なんて、なにがめでたいんだ」という人にも、このネタが届くといいなと思う。知人は再び眠りについてしまったので、洗い物をしたり、ひとりで『ヒットパレード』を観たり。11時半、煮しめ重を開けて、日本酒を飲み始める。〆に予約しておいた蕎麦を茹で、平らげる。今日のは田舎蕎麦で、こっちの太くて黒っぽい麺のほうが馴染みがある。

 知人はまた眠りについたので、ひとりで散歩に出る。今年は餅を買いそびれていたのだけれども、明日の朝食用に餅を買っておきたいところだ。不忍通り沿いのお菓子屋さんは当然どこも閉まっている。よみせ通りに向かうと、「九州堂」というアンテナショップ的なお店が営業していて、冷凍したお餅を売っている。白もちとあんこ入りを2個ずつ買って済ませようと思ったものの、昨日早めにおいとましてしまったことが気にかかり、今日も昼過ぎから何人かで集まるようだったので、白もちを追加で6個買って、山手線に揺られてM&Gの事務所へ。扉を開けると、Fさん、俳優のS.Hさん、それに編集者のYさんがいる。お餅、よかったらと差し入れると、ああ、お餅買いそびれてたんですとFさんが言う。好きな食べ物が少なかった幼少期のFさんが、「これはうまい!」と思った数少ない料理がお雑煮だったと、一年前の年の瀬にお堀端を歩きながら話したことを思い出す。テーブルにはマックのポテトが並んでいるのがおかしかった。

 30分ほどでおいとまして、17時に家に帰ってくる。『爆笑ヒットパレード』の見そびれていた部分を録画で補完する。ぼる塾のネタ、あんりのツッコミの厳しさに笑い崩れてしまう。「初笑いが出たやん」と、隣にいる知人が冷静に言う。市販のアゴだしスープで寄せ鍋を作ってもらって、19時から晩酌を始める。熱燗をつける。しばらく格付けチェックを眺めたあと、21時からは『ドリーム東西ネタ合戦』をリアルタイムで観る。この番組は毎年楽しみにしていた気がするのだけれども、焼き直しのようなネタが多く、途中で飽きてしまった。

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