1月25日

 7時過ぎに目を覚ます。しばらく布団の中でケータイをぽちぽちする。平民金子さんの日記に書かれていた「町を語ろうと思うなら最低限その町で髪を切っとかなあかんよ」という文句を反芻しながら、バリカンの刃先にサラダ油を塗り、頭を3ミリに刈る。いつもより髪が伸びていたせいか、刃に髪が詰まる。丸坊主にするようになったのは、ひとつにはコロナ禍の影響だ。引っ越してからもずっと、高田馬場の美容院で髪を切ってもらっていたのだけれども、お客さんがマスクなしで会話していたらどうしようと不安になったのと、人混みに出かけたあとでシャワーを浴びたり、いっそのこと除菌液で頭を拭いたいと思ったことで、数年ぶりにバリカンを買って、坊主頭になった。もともと髪型に対するこだわりがなく、それなのに頻繁に髪を切りに行ったり、シャンプーして髪を乾かすという手間が(特に旅先にいるときに)かかることを億劫だと感じていたというのもある。日記でそのフレーズを目にしたからということではなく、自分は町を語るということとは別のことでしかどのまちとも関わることはできないなと思う。

 今日も桜木町に出て、鼎談の収録現場に立ち会う。今日は僕が話をまわそうとしなくとも、自然と会話が進んだので、ほとんど聞いているだけでよかったのだけれども、気になったことを最後に少し質問する。じゃあ、沖縄で、と挨拶をして別れ、駅構内にある「川村屋」でとり玉そばを注文し、軒先のテーブルで啜る。おいなりさんもつければよかったなと思いつつ、自宅まで引き返す。14時、RK新報の連載の今後について、担当記者の方とZoomで打ち合わせ。僕の連載は「新しい市場が開業する2022年の春まで」という約束で始まったものだが、工事が難航し、開業は1年延期されることになった。今年は復帰50年の節目の年で、新しい連載企画が始まることもあって、連載の延長は難しいかもしれないと事前に伺っていた。やはり連載延長は難しそうだけれども、個人的な希望をお伝えして、近いうちにまた打ち合わせをしましょうという話になり、ミーティングを終える。

 昨日送信したファックスが無事に届いているかどうか心配になり、念のためにと、取材させていただいたお店に電話をかけてみる。届いているかどうか、まだ気づいてもらえていなかったようで、電話しておいてよかったなと胸を撫で下ろす。今日は休肝日にするつもりで、豆腐と長ねぎ、春菊、椎茸、えのき、あとは小さい鱈を入れただけのヘルシーな鍋を作っていたのだけれども、なんとなく酒が飲みたくなったので、ビールを開ける。

f:id:hashimototomofumi:20220125122902j:plain