2月24日

 夢を見た。夢の中では、本が何かの賞をとっていた。そこにさらに連絡があり、別の賞もとったと知らされる。そこで喜んでいるうちに、ああ、これは夢だと気づく。ただ、その段階ではまだ「2個目の賞をとったのは夢だった」と思っていた。そこから夢の中で時間が経過するうちに、あれ、もしかしたら1個目の賞も夢だったんじゃないかと気づき始める。不安になってジュンク堂の売り場まで確認に行ってみると、入り口にドーンと展開されていた本も別の場所に移動させられていて、ハッとして目を覚ました。

 時計を見ると6時20分。昨日の感じだと、まだ外は真っ暗だろう。なんとなく夜明け前の市場界隈の様子を撮っておきたくなり、すぐに外に出る。美栄橋駅前でシェアサイクルを借りて、アーケードの中まで走る。まずはパラソル通りを撮影(1箇所だけ椅子まで撤去されているところを撮っておく)。自転車をとめておき、アーケードの内側を撮影して歩く。1時間ほどで引き返し、ジュンク堂書店の前を通りかかると、シャッターが少し上がり、清掃員の方が掃除を始めているところだ。店頭にはまだ自分の本が並んでいてホッとする。

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 今日も起きてからずっと15分おきに検温しているけれど、あいかわらず37度前後だ。10時にホテルをチェックアウトして、荷物を預けたのち、もう一度市場界隈を歩く。今月末で市場の衣料部と雑貨部は営業を終えて、解体工事が始まるはずだから[→土地は市有地で、建物は市の所有だった衣料部と雑貨部は、借地契約が満了する2021年度末で廃止すると決められたものの、建物自体は解体されるわけではなく、そのまま民間に有償譲渡されるとのこと。パラソル通りについて問い合わせたときに、「借地契約が満了するのに合わせて、更地にしてお返しする」という話を聞いていたのと混ざっていた。ただ、いずれにしてもパラソルは撤去されるはずなので、風景は変わる]、次くるときには確実に風景が変わっている。これから先にどこを取材しようか。市場界隈には同じ制服を着た高校生たちがあちこちにいる。修学旅行だろう。国際通りではなく、市場のアーケード街で自由時間にするなんて、ちょっとシブい高校だなという気もする。久しぶりにこのあたりで修学旅行生の姿を見た。「上原パーラー」でネパール風カレーのお弁当(300円)を買って宿に引き返し、ゆいレールで空港へ。チェックインカウンターに向かい、荷物を預ける。

 僕が予約してあるのは29列の窓側だ。事前のネット予約だと最後列の30列目は指定できなくなっているけれど、前回沖縄にきたときも、カウンターでお願いすると変更してもらえたので、今回も相談してみる。すると、カウンターにいたスタッフの方は、上司の方なのだろうか、別のスタッフのところに相談に行き、何やら話し込んでいる。1分以上経って戻ってきたスタッフの方は、30列目は販売できない席で、満席の場合はその席も販売するんですが、何か30列目をご希望される理由はございますでしょうかと尋ねられる。最後列だと後ろの席の乗客がマスクを外して話していたり、大声で会話していると不安を感じるので、一番後ろの席に座りたくて、でも、今日は30列目の販売の予定がないのであれば今のままで大丈夫ですと答える。今日のフライトは残席が30以上あり、30列目を販売する予定はないというので、予約した席のままチケットを出してもらう。

 1階まで降りて、空港の外にあるベンチで「上原パーラー」のお弁当を食べる。目の前にはタクシーの列があり、少しずつ進んでゆく。それは「中・近距離」のタクシーの列で、那覇市を含む南部全域と、中部の一部(浦添市宜野湾市西原町中城村)までだ。遠距離の列は、僕が弁当を食べているあいだは動きはなかった。それより遠くとなると、3、4000円以上はかかるから、その料金を払うならレンタカーを借りたほうが割安になる。僕は小さい頃から、取材に出る父に連れられて全国あちこち出かけてきて、それこそ沖縄にきたこともあったけど、父は免許を持っていなかったからいつも移動はタクシーだった。メーターではなく、「夕方まで1万円で」みたいにお願いしていることが多かった気がする。あの頃は景気が良かったのだなあと思う。こうして300円のお弁当を食べていると余計に感じる。しかし、普段はその土地に暮らしていない人間が、300円のお弁当を買ってお腹を満たしていていいのだろうかとも考えてしまう。空港で沖縄そばを平らげるとその倍以上はかかる。でも、「空港で食べると割高だから」と、お金を払う人がいなくなれば、空港の飲食店はなくなってしまう。

 時間に余裕を持って保安検査場を通過する。ロビーのテレビにはプーチンの姿が映し出されていて、「特別な軍事作戦を開始する」と語っている。飛行機に搭乗してみると、29列目でも真ん中席に座るお客さんがいて、やっぱり意外と混んでるなと思う。飛行機のドアが閉まり、飛行機が飛び立ち、ベルト着用サインが消えると、通路を挟んで座っていた二人組が、CAさんと何やら話し、30列目に移動する。そのふたりがずっと大声で話し続けていて、そわそわしながらも構成仕事をする。飛行機が空港に到着して携帯の機内モードを解除すると、「ロシア軍がウクライナ南部に侵攻」という文字が飛び込んでくる。

 他の乗客がおおむね降りたところで、CAさんに尋ねる。チェックインカウンターで30列目を希望したものの、その席は満席のときしか販売していないと言われて案内してもらえなかったんですけど、他の乗客が案内してもらっていたのはなぜですか、と。二人組のお客様で、通路を挟んだ席になってしまっていたので、とCAさんが言う。こちらはカウンターで事前に申し込んでも案内してもらえなかったのに、案内してもらえた方がいたというのは、航空会社として決まったルールで運用されているわけではなくて、対応する人によって結果が変わるということですかと尋ねると、そうですね、そういうことになってしまいますねとCAさんが笑う。なんで笑ってるんだろうと思いつつ、ここで話し続けてもどうにもならないので早めに切り上げ、預け荷物を受け取り、航空会社のカウンターに行き、30列目の販売はどういう運用になっているのか尋ねる。「30列目は案内も販売もしておりません」と強く言われる。いや、でも、案内されている乗客の方がいたので、それはどういうルールになっているのか知っておきたいと聞き返すと、「それはご案内したお客様の個人情報にもかかわることですので、お答えできませんし、また企業秘密にもかかわることですので、お客さまに説明する義務はありません」と強く言われる。他の航空会社は基本的に最後列も予約できるので謎に感じてきたけれど、「企業秘密」と言うほどのことだったのだろうか。この4年近く、ほぼ月1のペースで利用してきたけれど、もう利用することはないだろう。

 スカイライナーにはぼちぼち乗客がいた。17時前に日暮里駅に到着し、駅の北側にあるホテルにチェックイン。曝露の可能性があった時間帯から、今日の夕方で丸4日、明日で丸5日が経つ。ほとんどの場合は4日までに発症し、ある地域の統計だと6日目以降の発症はなし、とある。現時点でも体温は特に平常通りで、喉に違和感もなく、風邪のような症状もない。だからほとんど大丈夫だとは思いつつも、万が一の場合を避けるべく、知人と一枚の布団で寝るのではなく、ホテルに宿泊することにした。ただ、ホテルで過ごすのも退屈だから、お互いにマスクをつけて、距離を保った状態で過ごすぶんには大丈夫だろうと、チェックイン後に一度自宅に引き返す。荷物はほどかず、玄関先に置いておき、知人とは距離を保って別の部屋で過ごす。

 観劇に出かける知人を見送り(ほんとは僕も一緒に観に行くはずだった)、ビールを飲みながらテレビを観る。21時前に知人が帰宅。知人はテレビのある部屋で、僕はその隣の部屋から引き戸をあけて、一緒に『ファイトソング』を観る。その後、バラエティ番組を観たところで23時、家を出てホテルに向かう。この時間になってようやく部屋に入ってみると、そこは12階の部屋で、ゆったりとしたツインルームだ。部屋の広さを持て余しつつ、リュックに入れておいた水と泡盛の瓶を取り出し、水割りにして飲みながら『アメトーーク』を観た。