3月2日

 5時半に目を覚ます。テレビでは東京マラソンに向けてランニングを続けてきたアナウンサーが、いよいよ目前に迫った東京マラソンを前に、モデルの女性にランニングウェアのコーディネートをしてもらっている。ストレッチをして、7時にジョギングに出る。自宅周辺で走るのは30日ぶりくらいになるが、マスクやバフをつけて走っている人はずいぶん少なくなっている。正確に書くと、マスクやバフを身につけてはいるけれど、走っているうちに邪魔になったのかあごや首にずらしている人がほとんどだ。それもかなり速いペースで走っている人が多く、大きく息を切らしながら追い抜かれるたび不安になる。不忍池のあたりを避ければ、あまりランナーとすれ違わないから、今度からルートを変えようか。不忍池から引き返し、根津一丁目の交差点で信号待ちをしていると、ああそうだ、ここはこないだ読んだ小説に出てくる場面だと気づく。

 

 言問通りを上の桜木町の交番の手前まで走ったところで足を止め、後ろを振り返り少し息を整えたのち、また歩きだす。

 根津の谷底辺にやってくると、彼はそこでこのまま飯田橋まで歩くのもウンザリしてきて、千円分だけタクシーを使うことにし、車道に一歩出て車が通るのを待ってみたが、待っているときに限ってそれはなかなか現われない。いい加減イライラしてきた頃に、ようやく個人の表示のあるのがやってきたので乗り込んだが、当然この時点ですでに彼は不機嫌極まりない状態になっていた。

西村賢太「人もいない春」)

 

 読売新聞では国際女性デーに向けて「「風おこす女性たち」という連載企画が始まっているのだが、「『阿波女』徳島経済引っ張る」と見出しが打たれている。国際女性デーに向けた企画で「阿波女」はないんじゃないかと、誰か言い出さなかったのだろうか。琉球新報は1面トップに、一昨日で閉場した牧志公設市場衣料部・雑貨部に有償譲渡先がシンバ・ホールディングスに決まりそうだと記事が出ている。2019年の牧志公設市場の一時閉場のときも、1面トップではなく、写真付きのベタ記事が1面に掲載されていたから、3月1日の紙面で同じく1面に写真つきのベタ生地として衣料部・雑貨部の閉場が報じられているのを見たときは、やっぱりその位置なんだなと思っていた。でも、「譲渡先が決まりそうだ」という記事は1面トップに配置されるのか……と節着な気持ちにもなるけれど、たしかに、衣料部・雑貨部の閉場以上に、跡地が何になるのかは、街並みの移り変わりに大きなインパクトを与えるのだろうなと思う。

 風呂に湯を張り、浸かりながら大竹聡『ずぶ六の四季』を読む。ちびちび読んで、ようやく半分ほど。日の出前から起き出し、軽くジョギングをして湯に浸かっている姿を見て、年寄りやのうと知人が言う。たまごかけごはんを平らげ、コーヒーを淹れる。原稿を書くのに必要なテープ起こしを進める。昼は昨日の残りの菜の花を具材にパスタを作る。昼食を終えると眠くなり、ウトウトし、自分のいびきというか、喉が振動する感触で目を覚まし、を何度か繰り返す。テープ起こしを終えて、春から始めるフリーペーパーのレイアウト作業を進めたのち、19時まで我慢して晩酌を始める。どうにか22時まで持ち堪えて『水曜日のダウンタウン』をリアルタイムで観ようと思っていたのに、今日も早めに力尽きる。