3月12日

  6時過ぎに目を覚ます。ジョギングをしたのち、朝食をとりながら新聞やウェブ記事を読む。プレジデント・オンラインに被災者へのケアをめぐるインタビュー記事が出ており、その冒頭と、終わりのところでインタビュイーがある本に言及している。昨日も書評を見かけて、気になっていた本だ。ただ、記事を読み返すと、そのインタビューの聞き手が本の著者だと気づく。これは、どうなんだろう。近しいテーマを取材している相手にインタビューする。そこで自分の本について言及してくれたとする。その箇所は、わりと控えめに掲載するものではないだろうか(インタビューの体を取りつつ、聞き手の本を紹介するために組まれた記事なら別だけど)。インタビューを受けた側も、そんなふうに語るのであれば、「そのテーマについて語るのであれば、インタビューよりも対談の形にして、相手の方の本についても踏み込んで話をしたい」と応じるべきだったのではないか。最後に書影つきで本が紹介されている画面を眺めながら考える。

 ごはんを炊き、レトルトカレーを買ってきてお昼にする。午後は少しだけ原稿を書いたけれど、知人が出かけたそうにしていることもあり、14時45分に家を出て、根津まで歩き、開店したばかりのバー「H」へ。この日はカウンターの対岸にお客さんがひとりいるだけで、ゆっくり過ごせる。自宅で過ごすているときはアホみたいなやりとりをするか、あとは一緒にテレビを観ながら話していることがほとんどだ。でも、こうしてカウンターに並んでいる時間は何を見るでもなく話すので、まじめに今後のことを気づけば話している。今後のことというのは、これからどこに住むかということ。もっと広いスペースの物件であるに越したことはなく、ただ今の環境からいきなり西側の郊外に引っ越すのは飛躍がある。ただ、もうしばらくしたら両親のうち片方が先に亡くなるはずで、そうなった場合に実家に顔を出しやすい関西圏や、あるいは実家近辺に戻って数年を過ごすことになったとしたら、そのあと再び上京するときに西側の郊外へというのはリアリティがあるかもしれないなと、ぽつぽつ話す。

 ハイボールを3杯飲んで、ほろ酔いで歩く。帰り道にある高級鮮魚店、いつもは通り過ぎるのだけれども(いかにも高級めいた外装に変えて、帰って安っぽく見えるのだけれども、週末になると高級車を路駐させて魚を買いにくるお客さんで賑わっている)、酔っ払ったこともあって立ち寄り、たちうお一串と、それにメヒカリを買って帰る。「報道特集」を観ながら日本酒を飲み、たちうおとメヒカリを丁寧に焼いて頬張る。値段が張るだけあってうまいけれど、魚の切り身を串に刺したものが2千円かと思うと、やっぱり普段使いはできないなと思う。ハイボールがきいたのか、知人も僕も20時までもたずに横になる。