3月19日

 6時過ぎに目を覚まし、ジョギングに出る。対岸に浮かぶ水納島と、伊江島を眺める。また、本部半島の先のほう、美ら海水族館がある方面も見えている。3キロほど走ってみると、こんどは自分が泊まっている宿のあたりが遠くに見える。さっきまで自分はあそこにいた。そして、一昨日の晩はあの島にして、今日はこれからあの島に行く予定だ――そんなふうに考えていると、自分は一体何をやっているんだろうかという気持ちになる。ひとつの場所に佇んでいると、見えない風景があって、その風景を見ようと移動する。そこで「さっきまで自分はあそこに立っていたのだ」と確認して、また移動して、「ああ、さっきまでいた場所はあそこで、その前にいた場所はあそこだ」と確認する。それが何になるのかはわからないけれど、そうやって乱反射するように移動しないとキャッチできない何かがあるのだと、どこかで思っているのだろう。

 ジョギングを終えて、洗濯機を回し、慌ただしくコインランドリーで乾燥させ、今帰仁に向かう。昨日はAランチで満腹になっていたので食べられなかった「リマタピオカサンド」のタピオカサンド、どうしても食べておきたかったものの、船の時間の都合もあるので今日もイートインは難しそうだったので、開店時刻の8時半に作っておいてもらえないかとお願いしてあった。8時半にタピオカサンドを受け取り、渡久地港へと急ぐ。8時51分、出航時刻の9分前だから大丈夫だろうと安心していたら、なぜだかシャッターが降りている。風もそんなに強くないのにと思っていたら、今日は軽石漂着の影響で全便欠航だと知らされる。

 それならもう、午前のうちに那覇まで――と思い浮かべたところで、クリーニングに出していたシャツのことを思い出す。少なくとも昼過ぎまではこのあたりで過ごすしかない。何をしようかと思い浮かべたときに、最初に浮かんだのは伊江島だった。おととい出かけたばかりだけど、レンタサイクルを借りて島内を巡っているとき、一眼レフを持ち運ぶのは億劫だったこともあり、ケータイでしか写真を撮っていなかった(夕方以降は一眼レフでも撮影していたけれど)。もしも今後伊江島について何か書く場合に、そこで目にした風景の写真も必要になるかもしれず、もう今日のうちに撮りに行くことに決める。11時の船に乗り、11時半に到着して、レンタサイクルを1時間だけ走らせ、13時の船で本部新港まで帰ってくる。

 本部町営市場でコーヒーを買って、のんびり名護に向かってみる。クリーニング店を覗くと、もうシャツは仕上がっていた。受け取りながら、少し雑談する。創業60年余りと記されており、どうして閉店されることにしたんですかと尋ねると、まだB円が流通していた時代からやってきたんだけど、もう年だから。店を畳むのにも体力がいるから、元気があるうちに閉めることにしたんですと、お店のお父さんが言う。しわくちゃだったシャツはきれいに仕上がっている。このシャツを着るたびに思い出しそうな気がして、図々しいお願いだとは思いながらも、名刺を渡し、作業されているところを写真に撮らせてもらえませんかとお願いする。

f:id:hashimototomofumi:20220319113621j:plain

f:id:hashimototomofumi:20220319114101j:plain

f:id:hashimototomofumi:20220319114116j:plain

f:id:hashimototomofumi:20220319115023j:plain

f:id:hashimototomofumi:20220319115802j:plain

f:id:hashimototomofumi:20220319115843j:plain

f:id:hashimototomofumi:20220319120609j:plain

f:id:hashimototomofumi:20220319120825j:plain

f:id:hashimototomofumi:20220319120902j:plain

f:id:hashimototomofumi:20220319120928j:plain

f:id:hashimototomofumi:20220319122206j:plain

f:id:hashimototomofumi:20220319122708j:plain

f:id:hashimototomofumi:20220319122734j:plain

f:id:hashimototomofumi:20220319123654j:plain

f:id:hashimototomofumi:20220319143713j:plain