3月25日

 5時過ぎに目を覚まし、羽田空港へ。スカイマークの始発便で神戸に移動する。三宮に出ると、そこかしこに晴れ着姿の若者がいる。今日は卒業式があるのだろう。ロッカーにボストンバッグを預け、灘へ。H.Kさんにダイレクトメッセージを送り、時計を見て10時きっかりに某所のチャイムを鳴らす。来月開催予定のイベントに向けて、この状況下であることを鑑みて、どれぐらい座席を配置できるか考えていると、Hさんがするりと現れる(DMの返信をいただいていたのに気づいていなかった)。

 今日はきっと、Hさんにとって慌ただしい日であることはわかっていたので、そんなタイミングで下見をいれたことを少し申し訳なく思っていた。当初の予定では「午後のどこかの時間でタイミングが合えば打ち合わせを」という話になっていたので、神戸の花屋で花を買ってお祝いに渡すつもりでいたのだけれども、まだ花屋には寄れていなかった。ただ、羽田空港でなんとなく美味しそうだなと目に留まったフルーツサンドをお土産に買ってあったので、それだけお渡しする。

 1時間ほどで下見を終えて、「寿し豊」で寿司をテイクアウトし、川べりで平らげる。贅沢な場所。DMでやりとりしていたとき、Hさんからこの話が何度か出ていて、そんなに川の話が出ることにピンときていなかったけれど、なるほどなと腑に落ちる。Hさんは岩の隙間に生えている花に見入っていた。打ち合わせをしながら歩き、告知前に決めておくことをあらかた相談したところで駅に入り、ホームで別れる。僕は岡本に行き、「まめ書房」にご挨拶。神戸にはちょくちょくきているのに、『市場界隈』を出したあとに伺って以降、ご無沙汰してしまっていた。ご挨拶をして、何冊か購入し、元町に引き返す。もうすぐ閉店するという「淡水軒」はもう暖簾が外されていた。いつものように「丸玉食堂」に入り、ビールと肉めしを注文する。このシンプルなネーミングに、ある時代を感じる。頬張っていると力が漲ってくるような心地がするのはなぜだろう。

 食後は「1003」へ。ここでも何冊か買って、ご挨拶。「まめ書房」でも、ここでも、来月末にトークイベントをすることになって、数日後に情報が出ます、とお伝えする。結果的にちょっと特殊なイベントとなり、「なるほど、それだと書店で開催するっていうのは難しそうだ」と納得してもらえるとは思いつつ、僕の本を仕入れてくださっていて、そこでトークイベントもときどき開催しているお店があるのに、それ以外の場所で開催するというときに、事前にひとことお伝えしておかなければと、少し気に掛かっていた。

 三宮で荷物を取り出し、16時過ぎに京都にたどり着く。京都セントラルインにチェックインし、17時の開店時刻に合わせて「赤垣屋」に向かってみると、行列が出来ている。旅行客がすっかり戻っているのだなあと実感する。並んでいた人だけで満席になり、すごすご引き返す。木屋町を歩くと、元・立誠小学校がすっかり様変わりしていて驚く。もとの外観を残した“ふう”にして、まるで別の建物だ。こんなことなら取り壊してくれたほうがまだマシだと思ってしまう。無理やり延命措置をされているように見えてつらい。サンボアに入り、ハイボールを5杯。