4月7日

 与那国で自転車をこぎまくったせいか、腰が爆発寸前だ。午前中はベッドに横たわったまま過ごす。お昼が近づいたところで、前に訪れたときに「今度お話聞かせてください」とお願いしてあったお店「O」に立ち寄り、これから向かいのおそばやさんでお昼を食べてくるので、もしよかったらそのあとでお話聞かせてもらえませんかとお願いする。おそばを食べたあと、お話を聞かせていただく。「あんまり私は、昔のこのあたりのことはわからないですよ?」とお店の方は言っていたけれど、とても印象深い話をたくさん聞かせてもらった。

 聞かせていただいたお話は、この通りをずっと行った先にある古本屋さんで配布するつもりですと伝えると、「ああ、そういえば昔、チラシをもらったのがあったはず」と、お店の方は棚を探し始める。そこから出てきたのは、Uさんが引き継いだお店が開店したときのチラシだった。これはなかなか貴重なものではと、少しだけお借りして、Uさんに見せにいく。日が暮れる前に栄町に出て、「東大」を覗くとカウンターが空いていたので、ゴーヤーのスライスと、ミミガーとマメの刺身を先に出してもらって、注文の順番がまわってくるのを待ちながらビールを飲んだ。開けっぱなしの扉から風が吹き込んでくる。きっと今の季節をうりずんと呼ぶのだろう。

 テレビでは「国頭村で1人だけの入学式」と報じられている。与那国島の小学校も今日が入学式だと言っていた。いろんなところで入学式が開催され、新入生がいるのだと考える。考えるだけで、そこに実感として何か広がりがあるわけでもないのだけれど。19時のニュースでトップに表示されていたのは、「ブチャ住民“私たちは忘れない」という文字だった。おでんを平らげた帰り道、街灯のところで立ち止まる。那覇滞在中に何度となく歩いているこのルートで、いちばん好きな風景だ。この風景のすぐ近くに、先月の公演のときには皆が宿泊していた。その思い出がよみがえる。

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