1月4日

 6時過ぎに目を覚ます。朝のニュース番組が戻ってきた。7時に流れる歌に合わせてTBSにチャンネルを替えると、コロナ陽性のため安住アナは不在。「3年ぶりに行動制限のないお正月」という言葉とともに、帰省や旅行に出かけた人たちの姿が映し出される。2年前の空気を思い出す。まだあの時間にとらわれている自分としては、あれは一体何だったんだと思ってしまう。最初の緊急事態宣言が出されたときの、移動に対する忌避感。最初の緊急事態宣言が出されたとき、単に「県をまたぐ移動は“自粛”してほしい」というお願いだったはずなのに、それが取り下げられたときに「県をまたぐ移動“解禁”へ」とメディアが報じたことを、ずっとおぼえている。移動することと書くことがわりと結びついている自分としては、移動に対して世間が示した忌避感をおぼえているから、いつのまにおいてけぼりにされたんだろうという気持ちになる。

 昨日までは機嫌良く起き出していた知人も、「お正月終わっちゃった」と布団の中でごろごろしている。9時過ぎに朝食。知人のつくる雑煮と、煮しめの残りを温めたやつ。午前中はドキュメントに関連するテープおこしを進める。団子坂上の八百屋や肉屋はまだ正月休み中なので、お昼はセブンイレブンへ。BGMは通常のものに戻っていた。12月は食費が爆発してしまったので、なるべく質素にと、税別98円のレトルトカレーを選ぶ。少し前に、「今日は弁当系じゃなくて、節約してインスタントにするか」とカップヌードルのBIGサイズとおにぎりを買ったとき、会計が400円ぐらいになってびっくりした。カップヌードルの価格というと、BIGサイズでも200円弱だった頃の記憶でとまっているから、いちいち驚いてしまう。こんなことが増えていくんだろう。

 今年の春に出版予定の書籍について、追加取材分の原稿は編集・Mさんの返事を待ってから本人への原稿チェックにまわすつもりでいたけれど、気づけばもう1月4日で、入校日が結構近づきつつあることに気づき、返事を待たずにチェックにまわすことにして、あれこれメールを書いたり、レターパックライトで原稿を送ったり。それとは別に、来月の取材に向けて旅館を押さえたり、ネイチャークルーズの予約を申し込んだり。夕方になってTBS『Nスタ』が始まると、仕事始めの日を迎えて、商売繁盛の神様を祀る神田明神を参拝する人たちの姿を中継で伝えている。出店もたくさん並んでいて賑やかだ。テープ起こしを進めながら、ときどき視線をテレビに移す。画面の中では、道の端っこを歩いて参拝をするのが正しいだの、どうやって手を清めるのが正しいだのと、「正しい参拝方法」を伝えている。報道番組が報じることかと腹立たしくなる。

 17時過ぎに家を出て、坂を下る。やなか銀座の「E本店」で知人と待ち合わせ。やなか銀座に入ったとき、「E本店」の軒先にはひとりぐらいしかお客さんの姿が見えなかった。こんな寒い日だと軒先でビールを飲むお客さんもいないか、と思って近づいてみると、お客さんがいないわけではなくて、ほとんどのお客さんが店内の角打ちふうのスペースで飲んでいるだけだった。帰りにスーパーに寄って、夕食の買い出し。昨日食べきれなかった肉が200グラム残っているので、追加で肉とサンチュとキムチを買って、今日も焼き肉にする。昨日は1パック(200グラムほど)で1500円前後の高級焼き肉がずらっと並んでいて、お正月感が強かったけど、今日はタレに漬け込んだ安価な肉も並んでいて、日常が戻ってきた感じがする。タレに漬け込んだハラミと、こてっちゃんを買う。小さい頃から焼き肉となるとこてっちゃんを食べるのが(正確にはこてっちゃんのたれをごはんにバウンドさせておいて、それを最後に食べるのが)好きだった。知人はこてっちゃんに馴染みがないらしく、微妙な反応を示していたけれど、押し切ってこてっちゃんを買う。