2月2日

 8時過ぎに目を覚ます。テレ朝の『モーニングショー』で、玉川徹が与那国島を訪れ、ミサイル部隊の配備と、台湾有事に関して島民に話を聞いてまわっている。その中で、脅威が現実のものとなった場合には、「最後は『ガマ』に避難」と見出しをつけて報じられている。78年が経って、またそんな時代が訪れるのか。チャンネルをTBSに合わせ、ドキュメントを書く。11時半から、ラジオ番組のリモート収録。さくっと終わり、昼はサッポロ一番塩らーめんを平らげたのち、ウェブ連載の原稿を整理する。原稿を整理するというか、写真のセレクトはどさっと写真を送ってピックアップしてもらうのがよいのかなと思っていたけれど、それだと先方の負担になることが1回目でわかったので、原稿をブロック分けして、ここにこの写真をとセレクトした上で、レタッチする。あっという間に日が暮れてしまった。

 ここ数日の日記はその日のうちに書いていなかったので、書きそびれていたことがいくつもある。そのひとつは、『空気階段の踊り場』のこと。月曜の朝に目を覚ますと、Twitterのトレンドに「もぐら離婚」があがっていて、ああ……となった。昼過ぎになって番組を聴いたのだが、その話題になったときの空気感はたまらないものがあった。自分のこどもをアメリカンスクールに通わせたいとかつて話していて、そのエピソードは、自分が経験することができなかったことをこどもに経験させたいという気持ちが伝わってくるようだった。実際のところ、どういう理由でアメリカンスクールに通わせたいと思っていたのか、こどもにどんな思いがあるのか、僕には知る由もないけれど、親が離婚した経験を持つ自分が、離婚する親になったことについて、彼自身が感じていることが声色に出ているようで、たまらない気持ちになったのだ。すると、かたまりが「がんばろう」と、震える声で語り出す。何度か「がんばろう」と繰り返すと、もぐらが「なんでお前が泣いてんだよ」と言う。そのやりとりのあとに、かたまりが曲を紹介して、よしだたくろうの「人生を語らず」が流れる。なんていいコンビなのだろうと思った。

 もうひとつ、これもラジオに関連する話として、以前から聴いていたラジオ番組は『空気階段の踊り場』、『アルコ&ピース D.C.GARAGE』、『ハライチのターン』、『マヂカルラブリーオールナイトニッポン0』、『オードリーのオールナイトニッポン』だ。いつも家事をする時間にラジオを聴いているのだけど、上記の番組だけだと全部聴ききってしまって、何も聴くものがない空白の時間が生まれてしまうので、最近は『#むかいの喋り方』と『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』も聴くようになった。その『#むかいの喋り方』の影響で、この一週間、Kindleで漫画を数冊買った。ひとつは、番組でおすすめされた『白山と三田さん』で、これはあんまり自分の年代が対象年齢でもないのだろうなと思いつつ読んだ。その影響で、なにか最近の漫画が読みたいという気持ちが芽生え、少し検索していたところで『へうげもの』の著者が『望郷太郎』という新作を描いていることを知り、これもKindleでまとめ買いして、大変面白く読んだ。そこに今週の『#むかいの喋り方』を聴き、おすすめされていた『日本三國』をすぐにKindleでまとめ買いして、これも読んだ。もう少し若ければもっとのめり込んだかもなとも思うけれど、この漫画も面白かった。

 しかし――不思議なのは、番組でおすすめされていたのがきっかけで、「読んでみるか」と思えたことだった。たとえば、いつもつけっぱなしにしているテレビだと、土曜日になると『王様のブランチ』が放送され、定期的におすすめの漫画が紹介されている。あるいは、誰か知り合いが面白い作品を紹介していることもある。ただ、それをきっかけに、実際に触れてみるということは滅多にない。それに、「おすすめのコンテンツを紹介する」的な番組は、そもそも観ない/聴かないようにしているところもある。自分の今の生活だと、触れられるものには限りがあるし、「同時代の最新のコンテンツに触れるべき」みたいな空気はなるべく遠ざけていたい気持ちがある。それなのに、『#むかいの喋り方』で紹介されていたものには自然と手がのびた。それはどうしてだったんだろうと、この一週間考えていた。たぶんきっと、純然と楽しんでいる感じが伝わってくる――というとちょっと違うか、とにかく「同時代のコンテンツにアンテナを張っている」感がなく、「最新のエンタメをチェックしておく」みたいな感じもないから、すっと入ってくるのだと思う。