2月11日

 7時過ぎに目を覚ます。朝から洗い物をして、洗濯機をまわし、コーヒーを淹れ、鍋の残りで雑炊をする。朝からウェブ連載の原稿を書く。昼は知人の作るサバ缶とトマト缶のパスタを平らげる。ビールも1本飲んだ。午後もしばらく原稿を書き、15時のオープン直後に根津のバー「H」へ。僕と知人が口開けの客だったが、ほぼ同じタイミングで、少し上の世代の男女が入ってくる。その男女が、入店と同時にカウンターにタバコを置いているのが目の端で見える。僕と知人はカウンターの左端に座っていて、その男女はすぐ右隣の席に座る。タバコを吸うなら、カウンターの反対側の端に座ってくれればいいのに、と思ってしまう。

 ハイボールを飲んでいると、手術を前に感じている不安が湧き上がり、ため息が漏れる。そのため息を聞いて、「なんでそんな感じになっとんよ」と知人が笑う。知人とハイボールを飲みながら、自分の不安を言語化する。まずは手術のあとにどれぐらい痛みがあるのかが不安だ。それとは別に、術後の排便時にどれぐらいの痛みが伴うのかが不安としてある。ただ、あまり考え過ぎても、ストレスから下痢や便秘になってしまって、術後の肛門にかなり悪影響を及ぼしてしまう。そう考えると、『何も考えない』がベストなのだが、何も考えないというのは難易度が高いことだ。手術のあとに、何も考えずに音楽を聴いたり、お笑いの動画を観たりしてだけ過ごせればよいのだけども、考えなければならない原稿が山のようにある。

 ハイボールを2杯飲んだあと、スーパーが営むワインショップで美味しそうなワインを買って帰途につく。サルデーニャ島の赤ワイン。明日の夜はもうお酒が飲めないので、今日でしばらく飲みおさめだ。最後の晩餐にと、「老酒舗」でいつものツマミを配達してもらうつもりでいたけれど、出前館で検索すると「老酒舗」は休止中になっている。それならばと、知人が「海上海」まで出かけ、よだれ鶏イカと紫蘇の炒め物、ラムと葱のクミン炒めをテイクアウトしてくれる。そのあいだに洗濯物を取り込んで、洗い物をしておく。今日は一階席も二階席も満席だったと言いながら、知人が帰ってくる。混んでいたせいか(?)、いつもよりボリュームが多く、食べ切らないうちに満腹になる。ただ、しばらく晩酌ができないのだと思うとどうにも寂しく、コンビニに出かけて「春木屋」のワンタンメンを買ってきて〆に啜り、知人が買ってきてくれていたハーゲンダッツのアイスクリームまで頬張って眠りにつく。