3月24日

 朝から羅臼の原稿を書く。16時過ぎに家を出て、有楽町の交通会館へ。まずは書店をのぞき、新刊が並んでいないかと探してみたけれど、取り扱いはないようだった。先週は日経の書評欄にも載ったのになと思いつつ、交通会館に移転した沖縄の物産品を扱う「Wショップ」へ。新刊ではここに商品が並んでいるお店にも取材しているから、もしよかったらポスターを貼ってもらえないかと相談しようと思ったものの、夕方で買い物客で賑わう時間帯にさしかかっていて店内は大盛況で、ポスターの相談をするどころではなかった。いきなり尋ねていくよりは、先方のよきタイミングで確認してもらえるように、しっかり書いた手紙を添えてお送りするのがよいかもしれないなと、そっとお店を後にする。

 丸の内線と中央線を乗り継ぎ、高円寺に出る。駅近くにある老舗の沖縄料理店「K」を訪ね、オリオンビールアンダンスーを注文する。店内にはいくつかポスターが貼られている。お店の方と少しだけ話をすることができて、とても図々しい話だなとは思いながらも、自分の本を渡した上で、もしよかったら、隅っこにでもポスターを貼っていただけませんかと切り出すと、いいですよ、何枚かもらっていいですか、と言ってくださる。沖縄の人たちにも読んでもらいたいけど、沖縄に関心がある方や、今は沖縄を離れて暮らしている方にも読んでもらいたい(沖縄に関心がある方だけではなく、まちというものに関心があるすべての人に読んでもらいたいと思っているけれど、まずは沖縄に関心を寄せている人たちに届かないことには、その層には届かないという気がする)。

 せっかく高円寺にきたのだからと、「c書房」へ。並びの建物も含めて「長屋」化計画が進行中で、僕がカウンターの端に座ると、その計画で工事を手掛けているのであろう方達が入ってきて、「モヒート」と注文している。「c書房」のメニューにモヒートってあったんだと思いながら、ビールを飲んでいると、店主のKさんが「ポスター、今お持ちですか」と声をかけてくれる。少し前に「ポスターを貼ってくれるお店があれば」とSNSに投稿していたのを見てくださったようで、A3のものを2枚託す。

 中央線で新宿まで引き返す。一瞬改札を出て、思い出横丁を覗いたが「T」は満席だ。すぐに駅に引き返し、山手線で目白に出て、「古書往来座」へ。もう閉店している時間だけど、中にお邪魔させてもらって、ビールを飲んだ。行く先々でWBCの中継を眺めながら、東京に戻ったらセトさんに話を聞いてみたいと思っていた。セトさん的なMVPは誰ですかと尋ねると、それ、面白い質問だねといいながらセトさんは頭を悩ませ、キャッチャーの中村悠平の名前を挙げていた。決勝戦、一癖も二癖もある投手が次々とマウンドに上がったときに、その球をちゃんととり続けられるのはすごいことだとセトさんが言う。もうひとり名前を挙げていたのは山田哲人で、アメリカのキャッチャーは相当な盗塁阻止率を誇る選手で、そこで盗塁を決めることがチームに与える影響は大きいのだと、セトさんが教えてくれた。お店を閉めたあとに法明寺まで歩き、桜を眺めた。