2月7日

 10時に起きて、朝食。ごはん、味噌汁(あおさ)、納豆、あじの干物。昨日酔っ払って眺めていた『山田孝之東京都北区赤羽』をもう一度観たのち、『王様のブランチ』を眺めていると、「買い物の達人」というコーナーに小栗旬が登場する。しばらく眺めていると、2軒目に移動したあたりでナビゲーターの鈴木あきえの口数が減っている。僕は彼女の進行ぶりは天下一品だと思っているので、一体何があったのかと心配になる。そのコーナーを観終えたあたりで、ツタヤで借りた『ジャージーボーイズ』観始める。いろんな人が絶賛するのを耳にして楽しみにしていたのに、途中で集中力が切れてしまって、アメリカの映画だ、という印象しか残らなかった。面白かったと感じたときより、こういうときのほうが「なぜだ」という気持ちになる。寂しい気持ちにもなる。15時、同じくツタヤで借りていた『仁義なき戦い 広島死闘篇』を観つつ、キャベツとアンチョビのパスタで昼食。ここからビールを解禁する。最近は『タモリ倶楽部』の影響で、自宅で飲むときのツマミはふりかけだ。お金もかからないし、チビチビしか食べられないからヘルシー(?)だ。

 気がつけば眠ってしまっていた。目を覚ますと21時半だ。テレビでは『そして父になる』が始まっていたので、ワインを飲みつつ観る。二人の父親の対比がやや典型的過ぎる嫌いはあるけれど、僕と兄もこれぐらい典型的に違っているはずだから、「ありえない」とも言えず、観る。ただ、何かを考えるということはなかった。映画が終わると、フジテレビでは『ミレニアムズ』という番組は始まる。冒頭に放送されたのはサイン会を舞台にしたコントだが、後ろに組まれた本棚に並ぶのは古本だ。『チェス入門』、『シェークスピア全集』、『百人一首物語』、『おお明治』、『比喩表現辞典』、『がんばらない』、堺屋太一『あるべき明日』、筒井康隆『農協 月へ行く』といった本が並んでいて、一体誰の本を並べたのだろうかと気になってしまう。

 『ミレニアムズ』が終わったところで、さてそろそろ寝ようかと思いつつケータイを確認すると、メールが届いている。昨日上げた構成仕事について、話し手であるご本人からの希望が転送されていた。僕が送った原稿はいかにも対談然とまとめてしまっていたけれど、もう少し対話になる前の時間――ぽつぽつと話し始めたその時間がすべてだったような気もしていて、そこを入れてもらえませんかという依頼だった。僕はなんだか恥ずかしくなってしまった。対談で語られていた言葉の内容というのは、「語られる言葉の質感やニュアンスがすべてだ」とも言える内容だった。それなのに、何を対断然とまとめてしまったのだろう――。すぐに酔いはさめて、テープをもう一度起こし、その“場”というものを活かす構成に直していく。終わる頃には4時になろうとしていた。クールダウンするべく、ウィスキーを飲んで『仁義なき戦い 広島死闘篇』を観ているうちに、外は明るくなってくる。