今日から5月だ。昼、外出する支度をしているとクロネコヤマトから宅急便が届く。最近特に通販で購入したものはないのだが、知人にも心当たりはないと思う。一体何が届いたのかと受け取ってみると、友人と言える数少ない人からだ。中身は日本酒である。最近気に入っている日本酒があり、それを送ってくれたのだ。何でもない日に贈り物をされるとこんなに嬉しいものなのかと思う。大事に飲もう。

 午後、知人と一緒に新宿に出かけ、「J.S.バーガー」でハンバーガーを食す。この店のテラスで食事をしていると、いつも工事の音が聞こえていたけれど、あの工事の音がNEWoManだったのだと今更気づく。ヒューガルデンバドワイザーを1本ずつ。食後はNEWoManを散策する。今日も欲しいものが見つけられず、結局また昨日と同じ店でビールを飲んだ。

 東口に出て、最近リニューアルしたビームスを覗いてみる。その変貌ぶりに愕然とする。外国人観光客を意識したのか「和」をコンセプトにした店になっていて、浮世絵風のTシャツなんかも並んでいる。それだけならまだしも、フロアを上がっていくと器なんかも並んでいて、その「日本再発見」ぶりが鼻につく。「日本のカルチャーの発信基地」を意識したような佇まいも嫌だ。その癖、並べられている本が荒木経惟森山大道横尾忠則というのは、「取り上げるべき若手作家は不在である」という皮肉だろうか?

 そういえばNEWoManの1階にも、日本全国の工芸品や物産を扱う店が入っている。「お釜の蓋を開けた瞬間に溢れ出る、あたたかい湯気。そこに現れる、ツヤツヤと輝く白いごはん。炊きたてのごはんをお椀に盛り、手にとる。それは日本人が「しあわせ」を感じる瞬間。」「全国各地から厳選したお米や食品、雑貨などを通して、新しい“発見”をお楽しみください。」というコピー。今、日本が再発見され、刷新されようとしていることに恐怖を感じる。

 一旦アパートに戻ったのち、夜は馬場の「牛角」へ。知人が「炭火じゃなくなってる」と言うが、僕は炭火だったかどうかまったく記憶に残っていない。最初に飲み物と肉を注文すると、「ライスのご注文はよろしいですか?」と言われて愕然とする。昔、焼肉の楽しみの半分は、タレを少しずつ染み込ませたごはんをかきこむことだったのに、今では「ごはんを食べると肉が食べられなくなる」と思ってしまっている。

 まだ30代前半なのに、昔ほど食べられなくなってしまった。そう落ち込んでいると、知人も「たしかに少食になったよね」と言う。大学時代からの知り合いならともかく、6年前に知り合った知人にもそう思われていたこともショックだ。食べることと飲むことが何よりの楽しみなのに、これからどんどん食べられなくなるのか。しょぼくれた気持ちになりながら肉を焼いた。