この1ヶ月書き続けてきた原稿を、ようやくほぼ完成させる。2ヶ月後くらいには形にしたいところ。旅の記録。書き終えた高揚感のまま新宿に出て、『カタチノチガウ』の楽日を観る。今日は最後列から見届けた。舞台上にいる人たちの姿も、そこから何かを受け取って(託されて)家路につく人たちの姿も含めて見守る。

 終演後はNEWoManをぶらつく。記念に何か買おうかと思ったが何も見つからず、2階にある“ニューアメリカンダイニング“を謳う店に入る。フードホールにある店はどこも行列ができているのに、立ち飲み席のあるこの店はすぐに入店可能だ。が、入ってみるとそれだけが理由ではないことがよくわかる。立ち飲み席にも一つ一つ番号がついており、たとえば17番の席からペールエールを注文すると、注文を受けたスタッフが「セブンティーン、ペールエール!」と他の店員に向けて言う。その言葉を他の店員が復唱する。その時点で何かっこつけてんだと思ってしまうのだが、ある店員さんが、たとえば68番のことを「シックス・エイト」といったふうに呼んでいる。支配人風の男性はそれが気になったらしく、店員さんを呼び止めて「あれだと英語として変だから、ちゃんとシックスティー・エイトって言って」と注意している。注意されている店員の手には僕が注文したビールがあり、どんどん泡が減っている。客においしいビールを提供するよりも、自分たちがどう見られるかのほうが大事なのだろうなと思って、1杯だけ飲んで店を出た。

 今日も打ち上げは「銅羅」だというので、打ち上げが始まるまで新宿3丁目「F」で飲むことにする。僕が口開けの客だ。しばらくするとKさんがやってきて、「『文學界』で面白そうなことやってるの、読んだよ」と言ってくれる。嬉しい。今日はメニューにサバがあると聞くと、Kさんはコンビニに出かけて食パンを買い、サバサンドにしてもらって食べていた。