1月3日

 朝9時に起きる。昨晩もまた雪が降ったので、買ったばかりのジョギングシューズを試せない。10時半、自宅前で記念写真を撮る。毎年正月の恒例行事だが、今回は被写体となる人がひとり増えた。今年で米寿を迎える祖母も一緒に写るのだが、途中で祖母を家の中へ連れて行くのは僕の役割だった。そのあいだにも撮影は続いていて、少し寂しい気持ちになる。そんなことで寂しい気持ちになったりするのだなと思うと少し笑ってしまった。

 昼は昨晩のハンバーグの残りとおせちを食べた。皆どこかへ出かけたので、僕と母と二人だけで食べた。午後、部屋に積み上げられた十数箱の段ボールを一つ一つ開いて、中にどんな本が入っているか確認する。そこに入っているのは自分が「しばらく読まないかも」と思って実家に送っておいた本なのだが、「こんな本があったのか」と少し福袋を開けている気持ちにもなる。気になった本をいくらか抜く。ただ、それを全部持ち帰ってしまうとまた何か送り返すことになるので、すぐに読みたい本だけ厳選する。新年は「今年は読書しよう」と熱っぽくなっているからあれもこれもと思ってしまうけれど、難しそうな本は結局挫折してしまうのが目に見えているので外しておいた。

 16時45分、クルマに乗って家族5人で出かける。向かった先は回転寿司だ。僕は帰省したタイミングで両親と外食に出かけたことは少ないのだが(祖母と母と3人で映画に出かけて、そのついでに食事をしたことはある)、兄はよく出かけているようだ。まだお腹はあまり減っていないのだが、「早く出かけんと混むけえ」と母が言う。半信半疑だったが、17時10分に到着してみると既に大勢の家族が席が空くのを待っていた。

 これは家庭によって差があることだとは思うけれど、僕が小さい頃は三が日に外食をするという習慣はあまりなかった気がする。少なくとも回転寿司は市内にほとんど存在しなかったはずだ。それが今やすっかり浸透して、17時の時点で10組以上が待っている――知識として「回転寿司が郊外で勢力を伸ばしている」という話は知っていたけれど、自分の生まれ育った町でそれを目の当たりにすると、おお、とたじろいでしまう。うちの父も含めて、皆部屋着に近い恰好だ。やはり小学生以下の子供を連れた家族が多く、待ちくたびれたちびっ子達は走り回ったり、キッズルームのような場所でテレビに釘付けになっている。何を流しているのだろうと思って近づいてみると「トムとジェリー」だ。寿司屋に流れる「トムとジェリー」というのは、なかなかにシュールだ。

 幸運にも15分ほどで席に座ることができた。父が瓶ビールを2本頼んだので、僕もご相伴に預かることにする。あまり高い皿を取って怒られないように、しめ鯖、エビ、焼き鯖、イカなど、一番安い皿と二番目に安い皿に絞って食べた。父がエビを2度取っているのを見ると、僕の味覚は父譲りなのかもしれないなと思う。それと、兄の結婚相手がささみチーズ巻に手を伸ばしているのを見たときに、良い人だな、と思った。なぜだかはわからないけれど、信用できる人だという気がした。

 1時間ほどで食事を終えて帰宅する。少し休んで、父の誕生日を祝った。それが終わると、僕は食べログぐるなびを検索して、明日皆で飲みに行けそうな池袋の店を探す。少人数で入れる酒場ならいくつか知っているのだが、明日は10人ほどになる予定だ。中華であれば大人数でも入れる良い店も知っているけれど、外国から来た人をもてなすのに中華というのもどうなのかという気がするし、果たして誕生日ケーキを出せるだろうかという不安もある。でも、食べログぐるなびに載っている店(つまり僕が行ったことのない店)は、行ってみたら残念な仕上がりである可能性もあるし、万が一ぼったくりだったらと思うと不安になる。ああでもない、こうでもないと考えているうちに日付が変わっていた。明日は4時半起きだ。