5月12日

 8時過ぎに起きる。昨晩は飲み過ぎた上に、小さめとはいえクーラーボックスを抱えているのにドラッグストアでトイレットペーパーやら何やら買って帰り、荷物を運び入れるので精一杯になってしまって、鍵穴に鍵を挿しっぱなしにしてしまっていた。午前中はグズグズ過ごし、昼、ピザを注文。先日観た『インクレディブル・ハルク』で、遅い時間に訪れた客に「マリナーラくらいしか作れないよ」と言っているシーンがあり、マリナーラってどんなピザだろうと気になっていたのだ。いつもは宅配ピザといえばドミノピザだが、マリナーラはないだろうと、ナポリの窯でLサイズを注文する。

 コンビニでビールを買ってきて、ピザを受け取り、『アイアンマン2』を観始める。冒頭のスタークエクスポのシーンで、トニーが語るスピーチが印象に残る。「問題なのは我々の未来だ」とトニーは語る。「未来」となっているが、そこでは「レガシー」と言っていたはずだと思う。「次の世代に何を残すかを考えねば。そこでこのたび、1974年以来初めて、世界各国の企業の優秀な人材が協力し、今後のヴィジョンを探る機会を用意した。今の我々のためではなく、明るい未来のために」。マリナーラは、とてもシンプルな味だった。トッピングでアンチョビを加えればよかった。食欲が刺激されてしまって、ピザを平らげたあとに昨晩酔っ払って買ってあったサッポロポテトをぼりぼり食べる。ビールを2本飲んだところでウトウト昼寝。15時過ぎに目を覚まし、途中から観直す。技術はコピーされハックされることを防ぎようもなく、一度走り始めたものはどこまでも走るしかない。

 さすがに食べ過ぎてしまった。少し反省して、16時半からジョギングに出る。不忍池をぐるり。水上音楽堂の裏を走りながら、昨日のことを反芻する。アパートに戻ると、湯につかり、『感情天皇論』をちびりと読んだ。いつ読み終わるのだろう。19時には晩酌を始める。大和芋マヨネーズともやしの醤油炒めをツマミにチューハイを飲みつつ、『マイティ・ソー』を観る。急にファンタジーの世界に飛んでしまった。だからあえてコミカルな動きが随所に配置されているのだろうけれど、ファンタジーを楽しめない僕は何とも言えない気持ちで観る。道徳が織り込まれていて、おとぎ話のような展開である。知人の帰りを待つまで、ドキュメンタリーを観る。

 23時に帰ってきた知人と乾杯し、棒棒鶏とアジの干物をツマミつつ、ようやく『水曜日のダウンタウン』観る。とても楽しみにしていた企画で、リアルタイムで観たかったけれど、その日は知人の帰りが遅く、観ることができなかった。その後も知人は仕事で遅くなる日が続いていたけれど、ようやく観ることができた。「新元号当てられるまで脱出できない生活」。芸人のななまがりが隔離され、タイトルの通り、新元号を当てるまで脱出できない生活を送る。ヒントが与えられるとは言え、絶対に不可能だろうと思っていたけれど、巧妙な仕掛けと小技が張り巡らされていて、1時間近い放送を食い入るように観る。そしてポロリと「れいわ」という言葉が発された瞬間に、思わず「おお!」と声をあげ、知人と顔を見合わせた。