2月3日

 7時半に目が覚める。火曜日に出演する番組向けにあれこれ「こんな話題があります」という項目を書き連ねる。12時、知人と一緒にアパートを出る。「砺波」を覗くも満席で、それならばと「毛家麺店」に入り、ビールで乾杯。餃子、レタスチャーハン、担々麺をいただく。うまい。「古書信天翁」を覗き、追加で注文してもらっていた『不忍界隈』を3冊納品したのち、千代田線で下北沢へ。途中でケータイが繋がらないことに気づき、しばらく前に未払いの通知が届いていたことを思い出す。知人にテザリングしてもらって、『ドライブイン探訪』に関するつぶやきがないか確認する。

 13時半、下北沢にたどり着く。トイレに行きたいという知人と一旦別れ、「ヴィレッジヴァンガード」を覗く。取り扱いはなさそうだ。続けて「古書ビビビ」を覗いたのち、範宙遊泳『うまれてないからまだしねない』観る。最初の台詞がいかにも芝居がかったもので、ああ、と思う。台詞がかたられる間も、舞台上の風景も、違和感ばかりおぼえてしまう。ケータイが不通でなければ帰るところだが、知人が困ってしまうだろう。どうすれば「先にアパートに帰ってる」と伝えられるだろうかと考えていたけれど、考えるのを諦めて、最後まで観る。ケータイ代を払えずにいる僕が、これに5千円払ったのか。自分が誰かによって産まれ、自分もまた誰かを産んでゆく。そのことに言及する作品は、とても保守的な質感を帯びると思うのだけれども、それはどこまで考え抜かれているのだろう。劇場を出た瞬間から知人にずっと「ここがこうだった」という話を延々していると、「不憫やのう」と知人が苦笑いする。「そんなに文句が出てくるってすげえけど」と。せっかく下北沢にきたのだから、どこかで一杯だけ飲もうかとも思ったが、昼酒に適した場所を見つけられず、缶ビールを買って千代田線直通の電車に乗る。電車はとても空いていた。

 千駄木駅にたどり着き、よみせどおりを歩く。知人と別れ、「慶」で焼き鳥を購入し、「古書信天翁」へ。15時からイベントが開催されていて、入り口近くまでお客さんがいる。一旦外に出て、表のベンチに座って缶ビールを飲んだ。1時間ほど経ったところでぽつぽつお客さんが帰ってゆく。店内に戻り、Kさんに差し入れの焼き鳥を手渡す。しばらく滞在していくつもりでいたけれど、今日のお昼に「信天翁」に納品した3冊の売り上げ600円も、ちょうど焼き鳥代に消えてしまって、財布の中には200円くらいしか残っていなかった。何も買うことはできないので、そっとおいとまする。

 スーパーに立ち寄り、ツマミと紙パックの黒霧島をクレジット払いで購入し、アパートに戻る。テレビでは『サザエさん』が放送されている。節分をテーマにした回だが、冒頭で波平さんが節分の由来を語っていて、21世紀だなあと感じる。昭和の時代に、そんなふうに由来を滔々と語っていただろうか。録画してあったドラマ『QUEEN』を3話まで観る。やはり素晴らしいドラマだ。ほどよく酔っ払ったところで、恵方巻きを食べることにする。知人はアイフォーンで方角を調べ、東北東に向かって無言で平らげた。