7月23日

 朝8時、「金壺食堂」に行ってみる。昨日飲んでいるときに「明日の朝イチで『金壺食堂』に行ってみよう」と話していたので、足を運んでみたものの、やはり皆の姿はなかった。そんなにのんびりしている時間はなく、8時には劇場に入り作業に取り掛かっているのだろう。ただ、スタッフにちまきを差し入れようと話していたことを思い出して、制作のK.SさんにLINEしてみる。すると、「みんな、ホールに荷物をおいてこれからいくことになりました!」と返事がある。よかったよかったと安心しながら食べ終えて店を出て、セブンイレブンに出かけ、アイスコーヒーを買う。コーヒーが出来上がるまでのあいだ、ケータイを手に取ると、K.YさんからもLINEがあり、「いま平和通りの入り口はいりました」と連絡をくれている。微妙にすれ違ってしまったなと思っていると、浮島通りを歩いていく何人かの姿が見える。平和通りからまっすぐ歩くのではなくて、せっかくだからと路地を細かく歩いてみたのかなと思いながら、後ろをついていき、「金壺食堂」の表から手を振る。

 宿に戻り、仕事。14時近くになって、お昼をどうしようかと思っていると、F.TさんからLINEが届く。何人かで食堂にいるので、お昼がまだなら一緒にどうですかと誘ってくれる。誘ってもらえて嬉しくなるのと同時に、そこは『市場界隈』で取材したお店ではなかったので、皆が皆『市場界隈』を読んでくれているわけではないのだなと思ってしまう。どうしてもそんなことを思ってしまう。後から合流して、ポーク玉子定食とビールを注文。沖縄が初めてだというI.Kさんは、嬉しそうにポーク玉子を食べている。ポークと玉子って朝ごはんって感じがする、とIさんが言うと、同じくポーク玉子を食べているKさんもそれに同意する。そういえば「ポークたまごおにぎり本店」っていうのもありますよと伝えると、「それ、気になってたんです!」と誰かが言う。N.Aさんは豆腐が気に入ったらしく、豆腐チャンプルを食べている。そもそも豆腐の作り方を把握できてないから、何回聞いても違いをおぼえられないんですけど、沖縄の豆腐は「島豆腐」と言って作りかたも違って、だからチャンプルに入れても崩れないんですと話す。話した瞬間に、今そんなプチ情報をひけらかす必要はなかったなと後悔する。

 食事を終えると、せっかくだからと皆を「ポークたまごおにぎり本店」に案内する。明日のマチソワ間にこようかなんて皆が話し合っていると、「明日は定休日なんです」と店員さんが教えてくれる。そこからあえて細い路地を抜けて、「桜坂劇場」まで案内して、劇場に戻る皆と別れる。その足で仮設市場に行くと、「コーヒースタンド小嶺」がオープンしている。さっそく冷やしレモンを注文すると、「今日が最初だから、サービス」と、無料で出してくれる。隣に置かれたベンチに座り、冷やしレモンを飲みながら、小嶺さんと話す。これからも継続して取材をしようと持っていること、次は公設市場というよりも、建て替えのあいだに周辺にある風景がどう移り変わるのかを書きたいと思っていることを伝えると、「それがいいよ、皆があまりにも公設市場のことだけを言い過ぎるから」と小嶺さんが言ってくれる。

 19時、N.YさんとU.Tさんと待ち合わせ。本当は「肉バル 透」に入るつもりだったけれど、今日は定休日だった。Nさんが気になっていたという、生ビールも提供するせんべろの店に入ってみる。せんべろの店が増えるのは財布のことを考えると嬉しいけれど、一体どうやって利益を出すのかと心配になる。3杯飲み干したところで河岸を変えることにして、「パーラー小やじ」に入り、墨廼江を注文。話の流れで、対象に対して愛着はないというのに、どうして「話を聞きたい」と思うんですか、これは非難しているわけじゃなくて、純粋に気になる。と、Uさんに質問されたけれど、うまく答えることができなかった。僕は墨廼江を2杯飲んだ。前にここで飲んだときは、とてもやるせない気持ちになっていたので、ここでこうして三人で飲むことができて、記憶を更新することができて、嬉しい。

 22時にお開きとなり、二人と別れて、沖映通りを駆け足で歩く。「ハイウェイ食堂」の前で待っていると、違うルートで歩いてきた皆がやってくる。行くのは僕とJだけになりそうなんですけど大丈夫ですかとFさんが言う。もちろん大丈夫です、と中に入り、二人がステーキを平らげるのを眺めながら、オリオンビールを飲んだ。