3月4日

 午後、バスで池袋に出る。14時、東池袋のマンションの一室で、来年度以降の企画に関する打ち合わせ。「ビール飲みますか」と、Fさんがアサヒスーパードライを1本差し出してくれる。いろんな企画が延期になったこともあり、Fさんは「最近酒ばっか飲んでます」と笑う。延期になった諸々はどうしたってやるせないけれど、ゆっくり過ごす時間がとれたのは、よいことではないかと思う。2時間半のあいだに、缶ビールを2本飲んだ。Fさんはハイボールを飲み始めていて、一緒に飲んで過ごしたいけれど、このあと散髪の予約を入れてしまっているので、おいとまする。

 都電で学習院下に出て、17時、散髪。途中で何度も電話が鳴る。あまりに頻繁にかかってくるので、途中で出る。この1ヶ月、どうにかして実現させたいと奮闘してきた企画にNGが出たという連絡だった。冒頭でそのことを知ってからは、あとの内容はあまり頭に入ってこず、ただ相槌を打っていた。この1ヶ月、なにかに取り憑かれたように書き綴ってきた言葉たちの出口はなくなってしまった。いや、出口がなくなったわけではないのだけれど、これが最善だと信じていた出口というのは、僕が勝手にそう思い込んでいただけだった。

 知人に連絡して、その旨を伝え、今日はヤケ酒に付き合ってもらうことにする。「やけ酒はしない」、つまりたのしくお酒を飲むことを自分に課しているけれど、今日ばかりは仕方がない。先日、「串カツ田中」で飲み物が199円になるチケット(500円で販売されていて、1ヶ月有効)を買ったばかりなので、西日暮里の「串カツ田中」へ。若い女性の店員さんが、ジョッキの口の部分を掴んでハイボールを運んでくる。おしぼりで口の部分をぬぐっていると、「ほんとに人としてどうかしてると思う」と知人に注意される。やさぐれた気持ちで飲んでいたけれど、あれは何がきっかけだったのだろう、知人が大笑いしている姿を見ているうちに、落ち込むこともないか、という気持ちになってくる。

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 帰りはバスで帰ることにした。都バスの運行情報サービスをチェックして、ちょうどいいタイミングで会計を済ませ、店を出る。そこに高速バスが通りかかり、「あ、バス!」と声をあげると、知人はそちらを見ることもなく、一目散にバス停に駆けてゆく。それが高速バスだったと気づくと、知人は振り返って、また大笑いしている。ふたりでバス停にたたずんで、しばらく笑っていた。