1月8日

 8時過ぎに目を覚ます。つけっぱなしのテレビでは『羽鳥慎一モーニングショー』が流れていて、ほとんどの人がリモート出演に切り替わっている。政治家の会食を制限するルール作りに対して、自民党から「自分たちの首を絞めることになる」と反対があり、見送られることになったという。それを眺めていてようやく気づいたのは、政治家たちは公式な会合以外で誰かと会う場所として、個室のある高級な飲食店しか知らないのではないか。そう考えると、それはそれでひとつの文化でもあるし、そういった場所を存続させることも必要なのかもしれない。だとすれば、場所代としてお金だけ支払って、料理の提供は断り、マスクを外すことなく過ごせばいいのになと思う。

 久しぶりに布団を干して、9時過ぎからジョギングに出る。あまりにも寒いので、アンダーアーマーの「コールドギア」という肌着を通販し、さっそく今日から使ってみた。着ただけで「暖かい」と感じるわけではなく、5千円以上したのに失敗だったかなと思いながら走り出してみると、冷えを感じずに走れて快適だ(肌にぴったり密着するタイプの肌着だから、汗をかいたあとに脱ぐのが大変だったけど)。街は昨日までと変わっていないように見える。不忍池を見て引き返し、アパートにたどり着くと、近所の学校から高校生たちが「下校」しているところだった。シャワーを浴びる前に、散髪。寝転がって読書していると微妙に寝癖がつく長さになったので、3ミリに整える。

 みかんを食べて、書評を頼まれている本を読み進める。お昼はごはんを炊き、中村屋レトルトカレー(スパイシーチキン)をかけ、そこにじゃがいも1個追加して平らげる。午後はおでんの仕込みをしながら、本を読んで書評を練る。やっぱり頼まれて書評を書くのは難しいなと思う。自分の興味・関心にぴったり重なる本ならともかく、そこから少し逸れた分野となると、知ったような言葉を書きそうになり、「誰がどの口で言ってんだそれ」と自分で自分につっこんでしまい、筆が遅くなる。電話をかけてみると今日も営業するとのことだったので、17時のオープン直後、バー「H」に行ってみる。すでに先客が2組いた。仕事帰りの知人もやってきて、マスクを何度も上げ下げしながらハイボールを飲んだ。他の客はマスクを外して談笑している。バー「H」は17時から20時まで営業する予定だという。

 ハイボールを2杯飲んで、さっと店をあとにする。不忍通りを凍えながら歩き、日本医科大学のほうに左折すると、「ベーカリーミウラ」にあかりが灯っている。あれ、営業再開は明日からだったはずではと思いながら、妙に嬉しくなって駆け寄ると、「食パン焼けました」と看板が出ていた。店主のTさんがひとりで店番されている。ほんとは明日からのつもりだったけど、正月休みのあいだにファックスで注文が入っていて、とりあえず食パンだけ焼いたのだという。1斤買って、4枚切りにしてもらう。「お互い体に気をつけて頑張りましょう」と見送られ、ほくほくした気持ちでアパートに帰った。