7月25日

 たまごかけごはんを平らげ、読書。まずは出口裕弘『私設・東京オペラ』を読み始める。昼はサバ缶とトマト缶のパスタを知人に作ってもらう。食後、洗い物をしているとチャイムが鳴る。日本の古本屋で注文した『昭和 二万日の全記録』(全19巻)だ。さすがに大きな段ボールに梱包されている。企画「R」のためにも、今後のためにも、このシリーズは手元に置いておき、暇な時にパラパラめくろうと思ったのだ(坪内さんもこのシリーズを絶賛していた)。最近床がミシミシ鳴るようになってきたので、本棚にこの重いシリーズ本を並べるのは不安になり、ちょっと別の場所にスペースを作って並べておく。『私設・東京オペラ』を読み終えると、今度は『大東京繁昌記 下町篇』を読み始める。言葉をうまくつかまえられず、あまり読み進められなかった。

 夕方になったところで、8月9日に掲載される予定の書評を考え始める。その日の書評面は特別編成となるので、字数も短く、書けることは限られてくる。この話は触れておきたい、あとこのポイントと、そしてこの部分――と、3つくらいの要素を入れ込むと文字数は埋まってしまうので、すぐに書き終えてしまう。数日放置してから推敲することにする。18時過ぎに近所の八百屋に買い物に出かけ、ズッキーニ、豆腐、みょうがを買っておく。「非売品」と札の貼られた虫かごがあり、みっちりカブトムシとクワガタが詰められていた。ズッキーニは塩豚と炒めてもらって、みょうがは刻んで冷奴にのっけ、晩酌を始める。

 観たい録画がないので、Netflixで『アグリー・デリシャス 極上の“食”物語』を再生する。最初のエピソードはピザをめぐるドキュメントだ。ブルックリンのピザ屋から映像は始まる。その店のピザが最高だ、というところからスタートしながら、ブルックリンスタイルからは考えられないピザが日本にはある、一方でピザ発祥の地であるナポリにはピザの協会もあって、伝統を守るための厳密な基準が設けられている、ただしその協会から“脱退”して新しいスタイルを追求する店もある、いや、実は俺、ドミノ・ピザも好きなんだと、地域と時代とともに移り変わる「ピザ」を多面的に描いていて、面白く観た。以前から夢想している企画、やはりいつか実現したいなと思う。それは世界中のスシ・レストランを旅する企画だ。ぼくは世界各地で多様に「進化」しているSUSHIに興味がある。その土地の人がどんなふうにSUSHIと出会い、レストランを始めたのか。あるいは、どうして日本からその土地に移り住んで、SUSHIの店を出そうと思ったのか。それを尋ねながら世界中をまわりたいと、ドライブインを取材し終えたあたりから考えていた。今はさすがに無理だけど、コロナが収束したあとには、どうにかして実現させたい。そのためにはお金を貯めておかなければと思いながら、とりあえず今はGoogleマップで世界中をめぐる。