8月7日

 7時過ぎに目を覚まし、たまごかけごはんにネギをのっけて平らげる。今日は36度になるとテレビが言う。コーヒーを淹れていると、知人もようやく起きてくる。「今日は熱中症が危ないみたいで」と伝えると、「知っちょる。さっき、紫色のとげとげした太陽が出とった」と知人が言う。お昼が近くにつれ、エアコンがあまり効かなくなってきたので、いつもは27度に設定してあるエアコンを1度下げる。昼は今日も焼きそばを作った。具材も昨日と同じ。「麺を洗ってから作るとウマくなる」とネットで見かけて試してみたけれど、洗うときに少し千切れてしまって麺っぽさが減ってしまうので、今日は洗わずに作ってみた。やはりこちらのほうがしっくりくる。汗が滲んでくるので、食事をしているあいだは24度にまでエアコンの温度を下げた。

 午後は後藤新平に関する資料を数冊読む。読み終えるのは明日になるだろうと思っていたが、必要なところだけピックアップして読んだせいか、夕方頃には読み終えてしまう。飲み始めるにはまだ早く、うずうずしながらパソコンに入力作業(資料を読みながら付箋を貼った箇所を、原稿を練るときのためにワードにまとめておく)。19時、山芋を切って塩を振りオリーブオイルで炒め、こんにゃくを切って麺つゆで煮る。一手間で作れるもの(それも味の加減を見なくて済むもの)しか作っていない。知人とビールで乾杯。

 最近録画した戦争関連のドキュメンタリーを観たあと、ニュースを眺めていると、サイゼリヤが食事用マスク「しゃべれるくん」を開発したと報じられている。一体どんなものかと思って眺めていると、自分が着けていたマスクを折りたたんで、そこに紙ナプキンをひっかけ、鼻のあたりにマスクと一緒に装着するのだという。それまで着用していたマスクが鼻に触れるのも問題があるだろうし、「これなら食事をしながら会話を楽しめます」と説明しているリポーターの声で紙ナプキンはそよいでいる。ほとんど効果はないどころか、サイゼリヤを訪れた客がこの「しゃべれるくん」で遊ぶ姿が浮かんできて、暗澹たる気持ちになる。そこでは飛沫対策という振る舞いが茶化され、軽んじられてしまうだろう。サイゼリヤは好きだから、なんとも言えない気持ちになる。

 昨日録画してあった『アメトーーク』の夏フェス芸人も観た。毎年フジロックに参加しているハライチ・澤部が、出演するアーティストのCDをひとしきり買って、聴き込んでから参加するという話に胸を打たれる。そんな気持ちをいつのまにか失ってしまった。「来年はフェス行けるかのう」と知人が言うので、とっさに「2025年ぐらいまでは無理やろ」と返す。ワクチンや治療薬がいちおうの完成を見たとしても、それが行き渡るまでには時間がかかるし、すべての症状を抑えられるわけでもないだろう。だとすれば、あの規模で人が集まることは当分難しくなる。「2025年」は、キンミヤのソーダ割りを何杯も飲んだ頭にとっさに浮かんできただけのものだったけれど、それを口にしてみると、だとすればこれから自分は何を取材するのだろう。