9月1日

 5時半に目を覚ます。しばらく「ゆうえんち夢物語」で遊んだのち、コーヒーを淹れ、たまごかけごはんを平らげる。雨が降っている。午前中のうちに、舞台『c』をめぐるドキュメントを書き上げ、メールで送信する。ここまでぎりぎりのスケジュールになってしまっていたけれど、ようやく書き溜めることが(つまり、余裕を持って、かつ何通ぶんかまとめてチェックしてもらうことが)できそうだ。

 8月後半は、すこんと記憶が抜けている。『G』に短期集中連載していた原稿のこと、それが終わるとWEB『H』の連載書籍化のこと、それにその他の原稿のことにも追われていた。きっとそのぶん原稿料が振り込まれるはずだと信じて、①Bluetoothのキーボード、②Bluetoothのマウス、③iPadApple Pencil、④AirPodsを買った。①と②は、ある夜、首から背中にかけての痛みで眠れなくなり、ノートパソコンに向かい続けているせいで凝りが悪化したのは明らかだったので、ノートパソコンを2段重ねした箱ティッシュの上に設置し、まっすぐ前を見ながら原稿が書けるようにと買ったものだ。③は、『G』誌のゲラ30数枚に赤を入れたあと、家庭用複合機で1枚ずつスキャンする――ページごとにスキャン台の蓋を開けて紙を入れ替え、パソコンで読み取りボタンを押し、20秒くらい待って、また同じ動作を繰り返す――作業をやったあとに、「この作業は効率が悪いのでは」と思い始めていた。いつもゲラに赤を入れるときは紙にプリントアウトし、赤を入れ、スキャンする(正確には、自動で電源がオフになってしまうプリンターに電源を入れにいく作業も挟まれるのだけれど、これは設定で「自動電源オン」にできるとつい最近知った)。その作業が億劫なせいで「よし、ゲラを読み返そう」となるまでに時間がかかってしまっていた。それに加えて、『G』誌のゲラをスキャンしてメールで送付し、打ち合わせがあって外出していたところに連絡があり、「18枚目だけスキャンされていないようですが」と告げられて、青くなった。どうしてもこういうミスが起きてしまう。これを省くには、ひとつには、ドキュメントスキャナーを買う方法がある。ドキュメントスキャナーがあれば、一枚ずつスキャンしなくても、スキャナーに紙の束をセットすれば自動で読み取ってくれるから、かなり楽になる。でも、結局のところ、紙に出力して、それをスキャンして、という作業は残ってしまう。何かいい方法はないものかと思い始めていたドンピシャのタイミングで、@maesanがiPadApple Pencilがあれば紙に出力しなくても赤入れが簡単にできるとTwitterに書いているのを見かけた。ツイートを見たのが目が覚めてすぐで、その日の10時過ぎには自転車こいで上野のヨドバシカメラに向かい、iPad AirApple Pencilを3回払いで買ってきた。まだ使い慣れてるとは言えないけれど、これは便利だし、今まで自分は何をやっていたんだ……と唖然としている。推敲するには紙に出力したもののほうがぴたっとくるけれど、赤を入れて戻す作業に関しては、圧倒的に楽になった。④は、コーヒーを淹れたり洗い物をしたりするとき、芸人のラジオを聴いているのだけれども、窓をあけっぱなしで聞いていると下品なフレーズが筒抜けになってしまうことがある。だから安いBluetoothイヤホンを使っていたのだけれども、左右のイヤホンがコードでつながっていることで毎日ごくわずかなストレスを感じているのと、電池の残量がわからなかったり、充電の手間が少し億劫だったりするのと、まああとはこれだけまとめてどかどかアップルの純正品を買っていると「えーいもう一個ぐらい買ってしまえ!」と勢いがついてしまって、③と一緒に買ってしまった。とても便利だ。

 仕事をしているうちにお昼をまわっている。WEB『H』書籍化の再校を戻さなければならないのだけれど、どうにもエンジンがかからず、遊園地ばかり経営してしまう。画面の中にポテトショップが並んでいて、ジャンクなものが食べたくなり、出前館で照り焼きマックバーガーセットを注文した(それだけだと配達してもらえる額に届かなかったので、アップルパイも)。腹を満たして、再校を読み返し、10箇所だけ赤字を入れて15時過ぎにメールで送信しておく。一息ついているとチャイムが鳴り、バイク便で荷物が届く。いつもの宅配便のノリで「インターホンの下あたりに置いといてください」と伝えると、「え、ポストじゃなくていいんですか?」と聞き返される。バイク便というものに慣れていないから、勝手がわからず、「ポストに入るものなら、勝手に投函しておいてくれればいいのに」と一瞬思ってしまったけれど、バイク便を使うものなんて大急ぎで届ける必要があるものなのだから、チャイムを押して「届けましたよ」と伝える必要があるのだろう。届いたのは色校だった。実際に使用する紙に、カバーや帯、カバーをはいだ表紙が印刷されている。カバーを横におり、自分の本棚にさしてみる。19時半に帰ってきた知人と、久しぶりにキッチン焼き肉をした。知人が買ってきてくれた肉はカットがでかく、5切れでもう満腹になってしまう。