9月2日

 5時過ぎ、寒くて目を覚ます。知人が掛け布団にくるまるように眠っていて、布団から締め出されている。えらく寒くて、もこもこした上着を引っ張り出す。枕元には今週末に書評が掲載される本がある。YMUR新聞から届いていた書評のゲラに、どうやって赤字を入れるか、寝転がったまま本を読み返しながら頭を悩ませる。『G』誌の連載や、RK新報の連載を書くときにも、地元の人や書き手に「この原稿はおかしい」とか「ぬるい」とか「話にならない」とか、ばっさり切り捨てられるんじゃないかと思ってぐるぐる考えてしまうけれど、書評はそれとも少し違う感覚で、ぐるぐる思い悩んでしまう。「これは評者が語っているような本ではない」と、ばっさり言われたらどうしよう。「少女を埋める」をめぐるやりとりがSNSで交わされる前からずっと、そんなことを考えてしまう。

 正午過ぎに加筆した原稿をメールで送信。くたくたになって、近所のセブンイレブンへ。ラーメンでも食って元気を出そうと、一風堂のやつを買ってくる。今日も誰とも会う予定はないのだからと、冷蔵庫からにんにくのチューブを取り出し、「これで元気を出そう」とラーメンに落として軽く混ぜる。その瞬間に、そのチューブがにんにくではなくて、しょうがだったことに気づく。午後は五月雨式に届くゲラに返事をする。「はじめに」と「おわりに」だけは明日の朝まで待ってもらえるというので、それ以外の部分だけを戻し、19時過ぎにビールを飲み始めて、昨日の焼肉の残りを平らげる。ずっとそわそわしているのは、単行本の校了が迫っているせいだけではなく、明日ワクチンを接種することになっているからだ。