9月11日

9時25分にアパートを出て、千代田線で荒川を越す。小さなアパートの屋上に、キャッチボールする、おそらく親子が見える。緑色のネットも張り巡らされていて本格的だ。家を出てから30分後には、草加駅にたどり着く。草加という名前には、主に『クレヨンしんちゃん』を通して馴染みはあったけれど、一度もきたことはなかった。何線で行けるのかもわからず、きっとずいぶん遠いところにあるのだとばかり思っていたから、こんなに近いのかと驚く。駅で待ち合わせて、取材をする。その帰り道、F.Yさんと話していると、「橋本さんはコロナが明けるまでどれぐらいかかると思います?」と尋ねられる。10年くらいはこの感じが続くんじゃないですかねと答えて、そんなふうに思っていたのかと自分でも驚く。帰りの電車の中で、「橋本さんの写真は、橋本さんの文章にすごく近い気がします」とYさんに言われる。「まっすぐで、飾りがない」。そのことを考えながら、坂道を歩いて帰途につく。

 シャワーを浴びて、13時、知人の作る鯖缶とトマト缶のパスタで昼食。今日はにんにくが大量に使われていて、食べるのにも体力が要る。午後は舞台『c』に向けたドキュメントをある程度まで書き進めたあと、夕方からは数日前のインタビューのテープ起こしを始める。昼寝をしたあと、しばらく本を読んでいた知人は、17時半になるとTBSの『報道特集』にチャンネルを合わせる。岸田が単独インタビューに応じていて、またしても「手帳」をとっておきのアイテムのように取り出している。各局のインタビューでこれを示し、思ったことを率直に書いているから、中を見せるというのはご勘弁くださいと言っていたけれど、『報道特集』ではメモの一例を読み上げていた。その内容というのが「」というもので、おいおい、その程度のことも視察に出かけないとわからないのかと驚く。それに、前々から気になっていたのが手帳のサイズだ。ポケットサイズの、薄めの手帳だ。その手帳が30冊ぐらいあるのなら「すごいな、こつこつ国民の声に耳を傾けてきたのだな」と思うけれど、手帳ひとつというのは薄すぎるだろう。

 19時からは『ジョブチューン』で、マルハニチロの冷凍食品をプロの料理人が評価する企画をじっくり観る。イカの天ぷらを見て、懐かしくなる。上京して最初に住んだのは高田馬場駅の西側にあるアパートで、最寄りのスーパーは西友だった。そこでは定期的に冷凍食品4割引セールをやっていて、小さな冷凍庫に入る範囲で買い込んでいた。そのとき好きだったのがイカの天ぷらだったが、残念ながら「不合格」の判定をされていた。

 もうひとつ、よく買っていたピラフは、写真がすすめるランキングに入っていなくて、かわりにチャーハンが2位にランクインしている。ピラフのように、ある程度しっとりした仕上がりが前提になっているものならともかく、チャーハンを冷凍食品にするというのはどういうことなんだろうかと、真剣に見る。うまそうだななあ、一回食ってみたいなあと口をついて出る。まるで高級店のチャーハンみたいに見てしまっていることに自分で気づき、ひとりで笑う。