1月31日

 8時頃に目を覚ます。テレビでは「今日までが今季の寒さのピークで、2月に入ってからは少しずつ寒さが和らいでいく」と天気予報士が話している。今日の夜に取材が入っていることもあり、その言葉をメモした上で、このあとの番組で流れてくる天気予報に気を張りつつ、ドキュメントを書き始める。お昼近くになって、ヨドバシ・エクストリーム・サービスで荷物が届く。注文したのはバリカンだった。今あるバリカンは、コロナ禍になってほどなくして買ったものだ。3年近く経ち、バッテリーが劣化したのか、動きが遅くなっていた。それに、刃の奥に髪の毛が詰まったこともあり、切れ味が悪くなっていた。購入したのは、Panasonicのヘアカッター。お値段は3千円ほど。刃の部分を開くことができるので、毛が詰まって動きが遅くなる心配もなさそうだった。さっそく箱から取り出し、充電しておく。

 昼にサッポロ一番塩らーめんを平らげたのち、またドキュメントを書く。17時過ぎ、小腹を満たすようにたまごかけごはんを平らげたのち、17時40分に部屋を出る。18時半、Y.Fさんのアトリエへ。シリーズ的に続けている取材。この時間からの取材ということで、Yさんは「田んぼ」というおにぎりやさんでおかかのおにぎりを買ってきてくださっていた。全員揃ったところで、まずは皆でおにぎりをいただく。おかかがたっぷり入っていて、こぼさないように、こぼさないようにと慎重に食べていたはずなのに、気づけばシャツの裾におかかがこぼれている。

 腹を満たしたところで、取材になる。いつもなんとも名状し難い気持ちになるのは、たとえば今日の自分が着ているものは、ユニクロの靴下、ユニクロのズボン、無印のシャツ、といった按配で、ズボンに関してはかなり履き潰しててろてろになっているからだろう。いや、てろてろになっていなくたって、素材の質感からして、安物だという感じがする。いや、普段は別にそんなことを感じないのだけど、僕以外の皆は、服にお金を払っている人たちだ。もちろんそれは、「高価なものを求めている」ということではなく、素材にも、その衣服を作っている人に対しても、きちんと選んで、お金を払って生きている人たちだ。それに比べると、自分はもう、着れればいい、という感じである。しかもアトリエは壁も床も白く、明るいから、それがはっきり出る感じがする。自分の場合、限られたお金を何に注ぎ込むかと考えたときに、「どこかに足を運ぶ交通費に全振りする」という生き方を選んでいて、それが書くこととも繋がっているわけだから、普段はなんとも思わないのだけれども、今日は衣服を作るYさんに取材する場だから、やっぱりどこか、申し訳ないような、気まずいような心地がする。試作品のセーターが出来上がっていて、それに関して話を聞いている途中で、「そうだ、橋本さんも着てみてください」と言われ、余計に申し訳ないような気持ちになる。ただ、今回の取材は、謝礼でセーターを買うつもりでいるから、ズボンももうちょっと良い素材のものを買わなければ。ただ、ズボンというものに関して、これまでの人生においてほぼユニクロでだけ買い求めてきた。ちょっとおしゃれな店に入っても、ユニクロみたいにあらゆるサイズが用意されているわけでもないだろうし、と思うと、ユニクロばかりで買ってしまう。