8時過ぎに起きて、知人が買ってきてくれたミラノサンド(B)を食べつつ、メールの文言を考える。書き進めているドキュメントをチェックしてもらわなければならないのだけれども、そのメールに添える文言に思い悩む。チェックしてもらう相手全員が、今、それどころじゃないことを僕は知っている。そんな状況下でテキストをチェックしてもらうことが心苦しく(そもそも自分のテキストを強制的に読ませるということが心苦しく)、ああ、うう、と唸りながら考える。14時過ぎになってようやく2通送信する。誰かに何かを依頼するメールを送るのに、ものすごく時間がかかってしまう。端的に言えば苦手だ。だから僕は、自分のことを編集者だと名乗ったことが一度もない。

 ほんとはあと1通送らなければならないのだけれども、今日は体力を使い果たしてしまった。15時、遅い昼食を取る。知人はサッポロ一番(塩)を、僕は納豆オクラ豆腐うどんを作って食す。ビールも1杯飲んだ。食後、ウトウトしているうちに日が暮れている。知人にDVDを借りに行ってもらっているあいだに僕がスーパーで買い物を済ませる。20時、パック寿司をシェアして食べつつ、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』観る。バカだなあと笑いながら観る。ディカプリオがいい加減に胸を触るシーンが登場するたび、僕もいい加減に知人のほうに手を伸ばしてみたのだが、触れる前に手を払われる。印象的なのは、父親が息子を諌めるシーン。「ジョーディ。いつか報いがくるぞ」と語りかける父に、「イカれてると?」と息子が返す。「イカれてる? 不潔だ」と父。イカれてるは“crazy”で、不潔は“obscene”と言っていた。

 「聞いてくれ。貧乏は美しくない」。ディカプリオがそう語ると、知人は「ほんとそう」と頷いている。それに続けて、ディカプリオはこう語る。スティーブ・マデン社の上場の日の演説だ。

「いい時も悪い時もあるが、金はある方がいい。金持ちなら何があってもリムジンに乗って、2千ドルのスーツに4万ドルの金時計だ。戦え。奪い取れ! おれを軽薄な拝金主義だと思うなら、マクドナルドで働け。そこがお前の場所だ。だが勝者に溢れたこの部屋を出る前に、隣の顔をよく見ておけ。遠くない将来、ボロ車で赤信号で停まったとき、彼はピカピカのポルシェで隣に停まってる。横には美人の女房、オッパイは巨乳だ。自分の横は? ムームーを着た不精ひげのメス牛が、窮屈そうに安スーパーの食料を山ほど抱えて横に乗ってる」

 ディカプリオの言葉に、「ムームーを着た不精ひげのメス牛だ」と知人が言う。知人はちょうどムームーみたいな服を着ていた。それはさておき、最近は映画を観る動機が違ってきている。昔はもっと好奇心でみ映画館に出かけたりDVDを借りたりしていたように思う(僕があまり映画館に出かけなかったのは、好奇心の低さをあらわしているような気がする)。でも、今はもう少し、その世界に浸りたいという気持ちで観ているような感じがする。どちらが良かったのかはわからない。