朝9時に起きて、ようやく確定申告の書類に取り掛かる。明日からしばらく旅に出るので、そのしおり作りも並行して進める。16時、自転車こいで池袋の税務署に出かけ、確定申告を済ませる。ホッとする。帰りに「古書往来座」に寄って、数冊購入する。店員のNさんが「久しぶり。最近は酷い目に遭ってない?」と声をかけてくる。少し考えて、「大丈夫です」と答える。

 今日は朝からずっと、テレビで高速道路の事故のニュースを報じている。山陽自動車道で追突事故が起こって火災が発生し、亡くなった方もいるという。事故が起きたトンネルの名前は八本松トンネルだ。テレビのニュースでこんなに「八本松」という名前を――僕が生まれた町の名前を――聞くことになるとは思ってもみなかった。

 ただ、そのニュースを報じつつも、テレビはどこも清原の保釈を追っている。夕方のニュースが終わる時間になって、ようやく清原を載せたクルマが警察署から出てくる。その様子をずっとテレビで中継している。僕が観ていたのはテレ朝――3月11日、各局が同じ町の津波の様子を中継しているときに、人が乗ったクルマが流されていることがわかった瞬間に、一社だけカメラがズームしたテレ朝――だ。

 空撮の映像には、報道陣が大挙して車道にはみ出している様子が見て取れる。警察はどうして取り締まらないのだろう。少し離れた交差点では、中央分離帯に待ち構えていたカメラマンが車道に身を乗り出し、あやうく轢かれかけている姿も捉えられていた。ハエのように追いかけていたバイク隊も含めて、醜悪さだけが残る映像だった。