朝8時に起きてシャワーを浴びる。さて洗い物をと蛇口をひねると水が出ず、表に出てみると水道メーターの取り替え作業中だ。前の晩に食べ過ぎたせいか食欲がわかず、朝ごはんは食べなかった。11時過ぎに近くのスーパーに出かけ、キャベツともやし、それに豚こまを購入する。このスーパーも明日からお盆休みだという。アパートに戻り、例によって焼きそばを作る。豚こまを取り出し、細かく切り分けていると、肉に少し粘り気がある。賞味期限は18日となっているが、不安になる。ここのスーパーはかなり古くからあるはずだが、鮮度がよかった試しがない。

 焼きそばを食べているうちに急激に暗くなり、雷が鳴り始める。ノートパソコンをそっと電源から外す。友人のA・Iさんから連絡があり、急遽飲む約束をしたものの、これは外出できるだろうかと不安になるほど。16時半になってアパートを出たが、まだ小雨が降っており、傘を取りに引き返す。コンビニでアサヒスーパードライを2缶買って、白山駅から都営三田線で水道橋に出る。17時にA・Iさんと待ち合わせて、どこに飲みに行こうかと相談する。おいしいものが食べたいというので、前に何度か行ったことのあるワイン食堂を目指すもお盆休みだ。もう一軒行ったことのある店も休みで、「これならもう、神保町まで歩いていいですか?」と相談し、「ランチョン」。こちらはお盆でも営業していた。お金がないので、ビールをちびちび飲みながら窓の外を眺める。Aさんが出ているC『HNJT』の話になる。部屋を片づけていたら台本が出てきて、それを持ってきてくれたので、見せてもらう。ダメ出しのメモ書き。しげしげ眺めていると、「しばらくやる予定がないから、それまで橋本さんに預けておきます」とAさんが言う。こんな貴重なものを預かるプレッシャーは大きいけれど、預かることにする。

 神保町で美味しい店というともう一軒行きたい店が思い浮かんだので、「放心亭」へ。お盆だからか、ほとんどお客さんはいなかった。こんなに空いているものかと驚く。「これなら橋本さんの声でも聞き取れますね」。たしかに、いつもの「放心亭」だと、多少声を張らなければならないところだ。僕が食べたかったもの、アイスバインでもロールキャベツでも黒パンでもなく、鉄板キャベツ焼きを注文する。今日は珍しく、僕が好きな店をはしごしている。自分には好きな店というのが思い浮かばないから、うらやましいとAさんが言う。そう言われると、最後にもう一軒行きたくなってくる。私が出すからタクシーで行きますかとAさんが言ってくれたが、それは固辞して電車に乗り、根津のバー「H」へ。最近『TIMELESS』を読んだ同士として、ジンのソーダ割りを飲みたくなったのだ。この匂い、前にも飲んだことがあるとAさんが言う。