9月21日

 7時半、知人が身支度する気配で起きる。朝、セブンイレブンでハムサンドを買う――つもりが品切れで、代わりにホットドッグを購入する。サンドイッチは250円くらいするのに、ホットドッグは138円とあり、少し驚く。ソーセージをパンで挟んだだけとはいえ、手頃だ。コーヒーを淹れて、朝食。午前中、またしてもブルーレイレコーダーのことを調べてしまう。今のレコーダーは2016年に買ったもので、wi-fi経由でケータイからも宅外視聴が可能なのだけど、どうしても再生が不安定なのだ。僕が買った次のモデルからは「番組持ち出し」という機能があり、ケータイにダウンロードして、オフライン再生が可能になっている。テレビを観るのも仕事なので、もっとさくさく観るために、新しいブルーレイレコーダーが欲しいと、ずっと思っている。

 現在のレコーダーは6番組を同時に録画できるモデルだ。知人も僕もあれこれ録画するので、特に年末年始となると、せめて4番組くらいは録画できなければ困る。今のレコーダーを買った頃には「全録」も登場し、たくさんの番組を同時録画できる方向に向かっていた気がするのだけれど、現在は2番組もしくは3番組のレコーダーのほうが多く、6番組同時に録画できるのは高価なモデルだけだ。たしかに、今の需要を考えると、「4番組以上を同時に録画したい」なんて、ごく一部の限られた層になってしまっているのだろう。物色しながら、現在のレコーダーを使い続けつつ、廉価なレコーダーを買い足して、僕が旅先で視聴したいドキュメンタリーをそちらで録画するというのがベストかもしれないなと考える。

 昼、納豆オクラ豆腐そばを作って食す。午後は6月末に沖縄で開催したトークイベントの構成に手をつける。17時過ぎ、半袖に半パンで買い物に出ると、肌寒くてびっくりする。暑さ寒さも彼岸までとは言うけれど、ほんとうに夏が終わってしまったのだなと思う。気分はまだ8月下旬くらいで留まっている。食材と一緒に、キンミヤと黒霧島の1升パックを買っておく。アルバイトから帰ってきた知人が、先日の公演に関する事務作業を終えるのを待ち、『キングオブコント2019』を観ながら晩酌。塩サバを焼き、黒霧島のお湯割を飲んだ。今年初のお湯割である。準決勝に残ったメンツを見て、競馬で言うなら、かが屋空気階段馬連を買ったような気持ちで観始めたのだが、二組とも決勝に残っており、嬉しくなりながらも、二組ともが馬群に沈んでゆく。

 優勝したどぶろっくのネタは、知人も僕も、大笑いしながら観た。ああして芸人を続けてきたコンビが優勝してよかったなと思う。それと同時に、昨年のM-1後に、ラジオで中川家が語っていたことを思い出す。そこではジャルジャルのネタがYouTubeみたいで、和牛のネタがお芝居みたいであるのに対して、霜降り明星だけが心の底から自分が言いたいこと、魂の叫びのようなものを感じさせるネタだったと語られていた。今回のどぶろっくのネタも、そこで語られていた「魂の叫び」に近いものだろう。彼はずっと、下ネタと言われるような歌ネタを続けてきた。それをブレずにやり続けてきた。それを観客のほとんどは知っており、その生き様を含めて「待ってました」という心地で笑ってしまう。

 もちろんお笑いは常に属人的な側面があって、たとえば大喜利にしても、同じ回答をAさんが出すのとBさんが出すのとでは笑いの量は違ってくるだろう。単純にネタとしての面白さというものは存在し得ず、常に「それを誰がやっているのか」が重要にはなってくる。ただ、キングオブコントという大会で今回どぶろっくが優勝したことを考えると、よりそのネタをやっている本人、「私」という要素が強くなってきているようにも思う。コントとはフィクションでもあり、「私」から遠く離れたネタというものは、今後どういう観られ方をすることになるのだろう。そもそもフィクションが今後どのように求められていくのかと、お湯割でとろけながら思いを巡らせる。