11月14日

 朝8時に目を覚ます。チャンネルをTBSに合わせ、知人を起こす。知人はほとんど夢の中から「まるちゃんおはよう」とつぶやき、すぐにまた眠ってしまった。コーヒーを淹れて、企画「R」の原稿を書き進める。昼前に知人は出かけてしまったので、今日も納豆オクラ豆腐そば。食べながら『夜の巷を徘徊する』の録画を観る。アンガールズ田中をゲストに、「建築の専門家」が登場し、好きな建築ベスト3を挙げている。専門家の中に「建築フリーランス」という肩書きの人がいて、第3位が中銀カプセルタワー、第2位が養老天命反転地で、ずいぶんベタなセレクトだなと思っていると、マツコが「これ、テレビに映して大丈夫なやつ?」と切り出す。「天命に逆らう」というあたりから、怪しい宗教施設だと勘違いしたのだろうけれど、マツコはこれを知らないのかと驚く。あるいは、ここが有名になったのはSNSが普及してからのことで、それ以前の世界を生き続けているマツコはそれを知らなかったということなのだろうか。

 19時頃になって、ようやく企画「R」の原稿を書き終える。まだ掲載日までずいぶん余裕はあるけれど、今日のうちにグループLINEに流しておきたかった。近くの八百屋にカブが並んでいたので、店頭でレシピを検索し、カブと油揚げの炒め物を作り、20時過ぎに帰宅した知人と晩酌。晩酌を作りながら観ていた、ニューヨークのYouTubeを知人にも見せる。東京吉本の先輩たちが過小評価されているとして、東京NSC出身の芸人たちのすごさを語っている動画だ。そこで登場する名前には、ぼくが『マンスリー』の取材をしていたころに超若手として渋谷の劇場に出ていた人たちがたくさん含まれている。ぼくが取材したのは2010年までで、ニューヨークはちょうどその年にデビューしたコンビだから、そうなるのは当たり前なのだけれども、なんだか妙に感慨深くなる。自分が当たり前のように目にしていた風景が、歴史として語られている。そして、感慨と同時に、言葉をなくしそうになる。ぼくはその歴史を目の当たりにしてきたのに、なにも言葉にしてこなかった。