3月1日

 5時に目を覚ます。5時54発の千代田線に乗り、西日暮里で京浜東北線に、赤羽で高崎線に、大宮で北陸新幹線に乗り換えて、7時過ぎに高崎にたどり着く。新幹線のコンコースにある駅弁屋はシャッターが降りたままだ。新幹線の改札を抜けた先にある駅弁屋も閉まっていて焦ったけれど、在西線の改札を出たところにある駅弁屋は営業していたのでホッとする。だるま弁当は5個並んでいたので、5個とも買う。だるま弁当、この状況になるまえは東京駅や上野駅や大宮駅にも並んでいたらしいのだけれども、東京駅の駅弁屋「祭」では「まだ販売を再開してないんです」と言われ、今日の朝大宮駅で尋ねたときも「コロナの影響で、今は販売していないんです」と言われてしまっていた(ちなみに京王百貨店の駅弁大会にも並んでいなかった)。友人のFさんは「昔お店で聞いたとき、『車内販売で売れ残ったものがあれば、それが並んでいた』と言われた」と話していたから、このご時世で車内販売がなくなり、それで首都圏に並ばなくなったのかもしれない。

 両毛線上越線が停車しているホームに移動して、だるま弁当を平らげる。渋い弁当だ。高崎で駅弁を買ったことがなく、東京からどこかに出かけるときは決まってシウマイ弁当を選ぶから、初めてのだるま弁当。完食したところで、湘南新宿ライングリーン車のチケットを取り、東京まで引き返す。10時過ぎにM&Gの事務所に向かい、残りの4個のだるま弁当を差し入れる。え、今日高崎に行って、だるま弁当を買って、それでなんでこの時間にここにいるんですか。高崎と東京の距離感をよく知っているFさんが不思議そうに言うので、始発で行ってきたことを伝えると、やっぱ橋本さんいかれてるなとFさんは笑っていた。だるま弁当は、Fさんの思い出の弁当でもある。それを原稿に書くために、昨日思い出話を聞いたばかりだ。

 11時から、M&Gに関連する対談を3本収録する。ぼくは司会進行役。16時半に事務所をあとにし、FさんとAさんと3人で駅まで歩く。Aさんに『日出処の天子』を薦められる。10年前に完全版が出て、そのときに未映子さんと穂村さんが対談して激賞していたのを最近ようやく読んで、面白かったからふたりにも買って読んで欲しい、と。駅で別れ、惣菜を買って帰途につく。