4月15日

 6時過ぎに目を覚ます。コーヒーを淹れて、茹で玉子を作る。午前中は打ち合わせに向けて、メモを書き出す。13時、サッポロ一番塩らーめんに豚こま、もやし、ニラ炒めをのっけたやつを2人前作り、知人と平らげる。13時半にアパートを出て、バスで音羽二丁目へ。大きい部屋しか空いていなくて、仰々しくてすみませんと言われながら会議室に案内していただく。窓の外には、よく歩いたことのある風景が俯瞰できる。14時過ぎから打ち合わせ。小一時間で終わり、部署の方達とも名刺交換。和やかに談笑しながら、これは誰の視点の世界を見ているんだろうかと不思議な感じがする。これは自分以外の誰かの視点だとしか感じられない。

 そのまま帰るにはふわふわした感じがするので、有楽町線東池袋に出て、缶ビールを飲みながら都電沿いを南下する。「古書往来座」を訪ねると、セトさんとのむみちさんがWEB「本の雑誌」の北澤さんの回の感想を伝えてくれる。あの野球選手の話のところがよかったとセトさん。最後に坪内さんが出てくるところも――坪内さんとは書いてないけど――あそこもよかったとのむみちさん。読んでもらえて嬉しい。何冊か本を買って、池袋駅に向かう。「三省堂書店」の書評コーナーを見ると、ぼくが書評した『弱い男』も並んでいる。その隣にあった田中小実昌の文庫を買って、無印良品洗顔用の泡立てネットを買い、千駄木まで引き返す。

 知人とは「伊勢五本店」という酒屋で待ち合わせをしていた。駅を出て路地に入り、坂の上を見上げると知人が待っていたので、坂を駆け上がる。酒屋に入り、手土産にする酒と、自分で飲む酒を選ぶ。奥能登の白菊という酒の瓶が目に留まる。白い菊があしらわれたシブめのラベルで、昔ながらのデザインのようではあるのだけれど、どこか今の感覚も反映されているように見える。隣にはもっとバリっとしたデザインの酒瓶があり、よく見るとそれも同じ酒蔵のものだったので「やはり」と思い、バリっとしたデザインのほうを手土産に、やや古風なほうを自宅用に買って帰る。

 18時過ぎ、近所の肉屋で惣菜(煮込み)とピクルスを買って、一度部屋に戻り、皿を持って再び出かける。「たこ忠」で一杯やりながらテイクアウト用の刺身を作ってもらうつもりでいたけれど、カウンターは満席だ(そうでなくとも、賑やかに飲み会を開催している人たちがいたから、敬遠していた気もするけれど)。ひらめと初がつおの刺し盛りと、かたくりのおひたしを注文し、外で待つ。知人のオンラインミーティングが終わるのを待って、ささやかに祝杯。奥能登の白菊、飲んだ瞬間は「あ、これ、甘ったるいやつかな」と感じるほど、良い香りが広がるのだけれども、甘ったるさが残ることなく消えていく。これはうまいなと漏らすと、「旨みがありながらすっきりした味わい」と、知人はラベルの言葉を読み上げる。なるほどその通りの味だ。テレビを観ながら酒をたらふく飲んだあと、ふとTwitterに目をやると、平民金子さんがYouTubeのURLだけ投稿している。開くと寿司が映し出される。「何がいちばんおいしいか、わかる?」の声に、「エビやろ」とぼくが言うと、隣で知人が「いや、アジやろ」と言う。