8月4日

 最近は生活が散らかっているので、終日自宅で過ごす。昼過ぎ、何気なく窓の外に視線をやると、ピアノを運搬する車両が停まっている。高い階に窓から搬入できるクレーンがついた車両だ。目の前に停まっているということは、うちのアパートに搬入されるのか。鉄筋コンクリートではるけれど、さすがにピアノの音は響いてくるはずで、落ち着いて原稿が書けるだろうか。急に不安になる。そもそも楽器不可のアパートであるはずだ。それを特例として認められるのであれば、うちも特例としてペット可にしてもらって、犬を飼おうか――そんな妄想を膨らませながら様子を伺っていると、隣のビルのほうからピアノが運ばれてきて、荷台に収納され、車両は走り去った。