3月3日

 6時に目を覚ます。M&Gの事務所に向かう前に書店に立ち寄り、『日出処の天子』を探す。4巻までしか在庫がなかったので、とりあえず4巻まで買う。新刊棚を眺めていると、いとうせいこうの本を見かける。「震災関連本」という枠組みでぼくが取り上げるのであれば、こちらだったかもと思ったけれど、もう遅い。慌ただしさにかまけて、最近は新刊書店をのぞく頻度が落ちてしまっている。10時55分にM&Gの事務所に向かい、買いましたよと『日出処の天子』を見せると、Aさんは「買ったの?!」と嬉しそうだ。11時から対談を収録したのち、近所で撮影。ここまでの対談も毎回外で撮影があったのだけれども、ぼくは事務所で待機していた。ただ、最後にぼくも写真に撮ってもらうことになっているので、一緒に外に出かけ、撮影してもらう。Fさんと並んでカメラの前に立つと、写真家のI.Sさんが「無意識系だから撮りやすい」と言う。たしかに、写真に撮られるときはもう、からっぽの気持ちでいる。

 事務所に戻り、企画「R」の打ち合わせをしたあとで、最後の対談を収録する。ここまでの対談で、ぼくは司会進行役だったけれど、最後はぼくとFさんの対談だ。なにから話したものかと考えながら、シウマイ弁当をツマミにビールを飲みながら、ぽつぽつ話す。たぶん他の場所では話さないであろう言葉を、あれこれ口にする。15時に収録が終わり、Fさん、Aさんと一緒に事務所を出る。駅でふたりと別れ、デパ地下で惣菜を買って帰途につく。知人に今日は何の気分かと尋ねると、「日本酒もあるから和」と言うので、西京焼きや若竹の煮物、里芋の煮物、それに肉豆腐を買った。家に帰って知人に惣菜を見せると、ぜんぶ甘辛い味付けやんと不服そうにしている。でも、日本酒のアテには案外合うなと気づいたようで、ぱくぱく平らげていた(これは1日の出来事と勘違いして、1日の日記に書いてしまっていたけれど、3日の出来事だった)。