10月11日

 6時過ぎに目を覚ます。これでは飛行機に間に合わない。7時過ぎから書評する本を手に取り、布団の中で読み返し、9時半頃から書評を書く。10時40分、書きかけの原稿を出力して、本に挟んで家を出る。電車の中でも書評を練る。11時過ぎに秋葉原に辿り着き、PCR検査。3分で終わり、すぐに引き返す。ケータイのメモを使って、文字数も確認しながら書評を書き上げ、帰宅後ワードファイルに貼り付け、少し推敲し、参照箇所をコメントで挿れてメールで送信。続けて、昨日のうちに9割型書き終えていたいわきのプロジェクトのドキュメントを完成させ、いくつか相談したい点を書き添えてメールで送っておく。そうこうするうちに12時50分だ。

 今日は塩屋のY.Eさんと13時に待ち合わせの約束をしている。徒歩だと時間に少し遅れてしまいそうだから、タクシーを拾おうかと思ったが通りかからず、小走りで向かう。それでも13時にはぎりぎり間に合いそうになく、電話をかけ、夕やけだんだんで待ち合わせることにする。まずは夕やけだんだん上の、もうすぐ変わってしまう風景を見て、よみせ通りからへび道に抜け、「往来堂書店」をのぞき、バー「H」の前に寄り道して、あかじ坂へ。今振り返ってみると「街を案内してほしい」と頼まれていたわけではなかったのだけれども、ただ漫然と歩くよりもテーマを持ってと、あかじ坂を上がる。数日前にはなかった貼り紙がある。マンション計画に対する節瑛美会が開催されるようで、マンションが建つと「石垣がなくなる(地下を掘る)」「地盤の弱体化の恐れ」があると書かれてある(別の貼り紙には景観の変化にも触れられている)。ぽつぽつ話しながら坂を上がりると、「みかどパン」にも、数日前にはなかった貼り紙がある。「〈お客様.みなさま.〉/永い間「みかどパン」を./ごひいきにして頂き./ありがとうございました。/高令につき閉店いたします。/お世話になりました。」

 上野桜木を抜け、上野公園に出る。天気も良くて、広々とした公園は歩いているだけで心地が良く、ぎりぎり徒歩圏内でもあるのにどうして滅多にこないのだろうと不思議に思う。アメ横をちらりと通過し、銀座線で田原町へ。「Readin' Writin' BOOKSTORE」は定休日だったので踵を返し、浅草に出る。「東洋館」の香盤表をみるとおぼんこぼんがトリをつとめている。時刻は15時半、「水口食堂」はわりと空いている様子だったので入店し、生ビールを注文。アジフライといり豚、おしんこを注文し、取り箸もお願いしてシェアしながら平らげる。3枚目のビールを飲んでいたところで、隣にマスクなしで賑やかに話す4人組が座ったので、早々に退店。お店のお母さんに謝られてしまう。

 もう外は暗くなり始めている。デイリーヤマザキでロング缶2本とワンカップを購入し、隅田川べりに出る。適当なところに腰掛けて、川を眺めつつ飲んだ。東京にはぼんやり眺めて過ごせる海はないけれど、川がある。そろそろ進路を決める時期を迎えているであろうYさんに、ぽつぽつ話す。僕自身は就職活動をしたことがないまま今日に至っているので、自分の経験だけで話せば「就職だけがすべてではない」と言えるは言えるけれど、他人の人生に対してそんないい加減なことを言うわけにもいかず、自分が感じていること、話せることをなるべく慎重に話す。そうこうするうちにすっかり日が暮れて、19時をまわっている。浅草駅の地下街を案内して、改札まで見送り、「この電車にずっと乗っていれば渋谷まで辿り着けますから」と伝えて別れる。ぼくはバスに乗って帰途につき、22時には眠りにつく。