5月8日

 5時過ぎに目を覚まし、すぐに郵便受けに行く。今日は読売新聞に『水納島再訪』の書評が出ると予告が出ていた。一体どなたが書評を書いてくださったんだろうかとどぎまぎしながら新聞を開くと、やはり柴崎友香さんだ。その書評を、しみじみした気持ちで何度か繰り返し読んだ。去年まで自分も読書委員を務めていて、柴崎さんとは隣の席になることも多かった。ただ、もちろん、そんなよしみで書評を書いてもらえるはずはないということは、自分も委員だったことがあるからよくわかっている。だから、刊行から3ヶ月がほぼ経過する5月1日付の紙面でも書評が掲載されないとわかったときは、ああ、今回の本は何らかの瑕疵があると判断されて、書評の対象とならなかったのだろうなと思っていた。

 昼は知人の作る鯖缶とトマト缶のパスタを平らげる。ビールも飲んだ。午後、ぎりぎりまで機内誌『C』のテープ起こしを進めたのち、16時25分、保冷バッグを持って出かける。千代田線で霞ヶ関に出て、コンビニでロックアイスと缶ビールを4本買って保冷バッグに詰め込んで、日比谷野音へ。「FAN CLUB」という、イースタンユースナンバーガールのツーマンだ。チケットが2枚当選して、最初に誘ったのはFさんだったが、どうしても予定があって行けないと返事があり、それならばとAさんを誘った(チケットが当選したのは与那国滞在中で、Fさんに誘いのメールを送るとき、同じ場所にAさんもいて、羨ましそうにしていたこともある)。

 17時ちょうどにイースタンユースが登場する。普段からよく聴いているとは決して言えないが、観るたび格好良いなと圧倒される。ただ、音源を聴き込むというより、自分なりの叫びを模索しなければという気にさせられる。セットチェンジを挟んで、暗くなり始めたところでナンバーガール。きれっきれ。ナンバーガールを観るのは何度目か数えていないけれど、観るたび不思議な気分になる。僕が聴き始めたのはZAZEN BOYSになってからで、ナンバーガールの音楽というのは映像作品や音源の中にしか残っていないはずのものだったのに、目の前で演奏されている不思議。終演後、日比谷公園に残って飲んでいるときに、Aさんも同じことを言っていた。特に知人に連絡をしないまま、ライブ中から切れ目なくAさんと飲んでいたのだが、21時過ぎにケータイを確認するとたくさんメッセージが届いている。家に帰ると、知人に抗議をされ、それがAさんと友達付き合いをしていることに及んだこともあり、そんなこと言い出すやつとはもう一緒に住まんわと毛布をひっぱぎ、キッチンの長椅子で寝る。