5月23日

 5月9日から稽古場に同席し始めている。基本的には夏が終わる頃まで他の仕事を入れないようにしているから、しばらく稽古を見学するだけの生活になっている。観ているだけと言えば観ているだけなのだけれども、その場でひたすらメモを残したり、あとからテープ起こしをしたり、個人的に資料を読み込んだりしているせいか、日記を書けずにいた。

 6時半に目が覚める。今日は稽古が休みの日だから、もう少し身体を休ませておかなければと、どうにか二度寝する。8時に布団から這い出し、5月19日に稽古場で収録した鼎談の構成を進める。途中ですぐ近くにある洗濯機の排水溝が気になりだす。最近ダイニングが少し臭う感じがして、キッチンのシンクのせいだと思ってこまめに掃除していたのだが臭いが解消されず。あ、これは洗濯機の排水溝だと思い始めていた。今日は休日だからと、ひとりで洗濯機を動かしてみると、排水溝はどろどろになっている。パンに溜まっていたホコリを雑巾で拭き取り、排水溝にはパイプユニッシュをかける。排水ホースにも汚れが溜まっているのだけど、洗濯機からホースが取り外せないので、こちらは諦める。そうやってあれこれやっている様子を見た知人は「休みなんやけ、寝とればええのに」と不思議そうに言う。

 午前中には対談をまとめ終わり、こことここは仮留めのようにこちらで補った、ここが若干内容的に気になる、という箇所にマーカーを引き、昼前にはメールで送信しておく。いつもは日曜日にトマト缶と鯖缶のパスタを作ってもらうのだけど、稽古の休みが月曜なので食べそびれていて、「食べたかった」と漏らしたのを気に留めた知人が今日は在宅で仕事をして、お昼にパスタを作ってくれる。昼からビールを1本飲んだ。午後は21日に稽古場で収録した対談のテープ起こしに取りかかる。途中で風呂に湯を張り、浸かりながらウェブ「R」の原稿を練り始める(特に締切がないせいもあって、すでに更新されている原稿を書いたあと、そのままになってしまっている)。途中でケータイをぽちぽち触っていると、平民金子さんの朝日新聞の連載が更新されていることに気づき、読む。いつかの時間を想像する。

 風呂から上がって、テープ起こしを進める。昨日の稽古後に史実的なところをあれこれ話していたのだけれども、ひとつだけ半可な知識で話してしまったところがあったなと思い出し、そのことが気になりだす。資料を調べて、誤りに気づき、そのあたりのことをLINEで伝えておく。17時過ぎにようやくテープ起こしを終える。今度は資料館で販売されている書籍を取り出し、学徒として動員され亡くなった方たちのお名前と当時の年齢、所属、動員先、亡くなられた日と場所をエクセルに入力していく。そのデータを常に手元に置いておきたいと、前から思っていた。何度も資料館に通っているし、その本も最近読み返したところだから、目次の名前を見ただけでも「ああ、これはあの方だ」と思い浮かぶこともある。全員のことを、それくらいにまで知っていたい。