6月6日

 7時過ぎに目を覚して、YouTubeを再生しながらストレッチをする。昨日の午後に、急に思い立ってストレッチを始めた。2ヶ月ぐらい遅れて芸人のラジオの録音を聞いていて、数日前に『ハライチのターン』を聴き、澤部が「YouTubeを観ながら筋トレをしている」と話していたのを聞いて、「そうか、YouTubeという手があるのか」と今更ながら気づいた。これは効いていると思うものもあれば、「これ、どっか伸びてます?」と疑問に感じるものもあるけれど、30秒なら30秒をカウントダウンしてくれるのがありがたい。これまで自分でストレッチをするときは、「5回深呼吸をする」と区切ってやっていても、「あれ、今何回だっけ?」とわからなくなり、いい加減に終わらせてしまっていた。YouTubeなら、10分なら10分、いろんなストレッチをひと通り済ませられる。

 午前中は『フーコー入門』を斜めに読んだ。ほんとうはじっくり読みたいところだけど、時間は限られている。途中で読書をやめて、今日の取材の流れを考え、メモを作成する。昼は知人にサバ缶とトマト缶のパスタを作ってもらう。当たり前のように作ってもらっている感じにならないように、運ばれてきたフライパン(ボリュームが多いのでフライパンごと卓袱台に置き、取り分けて食べている)を前に、いつもより汁気が多いね、コショウも多めやね、と感想を述べていると、「そんな文句言うなら食わんでええけど」と怒られる。

 シャワーを浴びて、地下鉄を乗り継ぎ、14時ちょうどに麹町のBGSJ社にたどり着く。スカイプ経由で那覇のUさんに話を聞かせてもらったり、「東京の古本屋」でセトさんに取材させてもらったりしたけれど、出版社の応接室で、写真部の方が撮影のために照明をセッティングした環境で取材をするというのはずいぶん久しぶりだ。ほどなくして全員揃って、鼎談の収録が始まる。途中でF.Tさんが、「なんか、こうやってしゃべるのが久しぶり過ぎて、ちょっとキョドってる」と笑う。鼎談や座談会は、進行役があまりしゃべらないほうがよいのだろうけれど、どうしてもひとりずつに「××さんはどうですか?」みたいに話を向ける格好になる。3人とも、何度も顔を合わせてきた相手ではあるだけに、ちゃんとバランスよく話を聞けているだろうかと紙面にまとまったときのボリュームを想像しながら、話を聞く。

 1時間半ほどで取材を終える。皆がなんとなしに帰り支度をしているあいだ、H.Iさんが話しかけてくれて、「橋本さんがいてくれてよかった」と言ってくれる。先日の QJWebの記事を読んでくださったらしく、わたしはその場にいられなかったことも、橋本さんの言葉を通じて知ることができる、と。鼎談を見学に来ていたA.Iさんとも話す。沖縄行きの航空券を予約したとき、F.TさんとA.Iさんにはそれを伝えていたのだが、Aさんからは「わたしも同じ期間に行っていいですか?」と返事がきていた。ただ、沖縄に行っても向こうの人に会うのはまだ難しいだろうから、Aさんはまだ迷っているようで、「7月にするかも」と話していた。

 17時過ぎに帰宅すると、郵便受けに同じ色をした封筒が2枚投函されていた。それを目にした瞬間に、やっと届いたか、と思う。給付金の申請書だ。もう6月6日である。これから申請書を出して、それが処理され振り込まれる頃には6月も終わりを迎えるだろう。一体何が理由で給付されたのか、わからなくなってしまいそうだ。オンラインで申請済みの知人は、封筒をゴミ箱に捨てて、早々にビールを飲み始める。日が暮れる頃には、冷やしてあったぶんを飲み干している(ひとり2本ずつ冷やしてある)。今日の夜は見返したい映画があった。ただ、いきなりお願いすると断られそうで、「今日は何観ながら晩酌する?」と探りを入れる。うーん、別に、なんでもええけど、と知人が言う。これなら行けそうな気がすると判断し、「今からビールを買ってきてあげるから、ちょっと前に観たばかりの映画をもう一度観てもよいか」と相談すると、喜んで引き受けてくれたので、小雨が降り始めたなかをセブンイレブンまで走り、ビールを4本買ってきて、『仁義なき戦い』を再生する。