10月13日

 4時に目を覚ます。シャワーを浴びて、部屋を整えて、4時55分に家を出る。5時4分発の千代田線に乗り、西日暮里で京浜東北線に乗り換える。時間に余裕があったはずが、ぼんやりしていたせいで反対方向のホームで電車を待っていたせいで一本遅い電車に乗ることになり、羽田空港第一ターミナルに到着したのは6時6分だ。フライトは6時45分なので、早足で出発カウンターに向かい、搭乗手続きをする。売店でおにぎりを買って平らげ、飛行機に乗り込んだ。中はかなり空いていて、横並びの3席には他に乗客はいなかった。緊急事態宣言は取り下げられたけれど、もう沖縄旅行のハイシーズンは終わったのだろう。

 今回は機内誌の取材もあるので、石垣空港でトランジット。那覇行きの飛行機も空いていて、那覇空港も閑散としている。ゆいレールで県庁前に出て、定宿に荷物を預けたのち、市場界隈を散策する。時刻はお昼過ぎ、「上原パーラー」でネパールカレーのお弁当をと思っていたら売り切れで、「赤とんぼ」でタコライスを買ってパラソル通りで平らげる。Uさんのお店を覗くと、『東京の古本屋』が並んでいて、記念に写真を撮らせてもらう。8月の連載で取材させてもらった「M商店」の近くを通りかかると、店員さんがこちらに手を振り、両手で頭の上に丸をつくる。なんだろうと駆け寄ると、「(記事を)やっと読んだ!」と店員さん。「あんなに、誰にでもわかるように、それですごく良い感じで書いてくれて、嬉しかった」と。そんなふうに言ってもらえるのが何より嬉しい。

 14時、「喫茶スワン」をのぞくと、ちょうどお客さんが途切れたところらしく、貸切だ。「まだまだ暑いでしょう!」と、ママは言う。そう言って前のお客さんの食器を下げながら、「あ」と立ち止まり、「でも、ずいぶん涼しくなりました」と言い直す。「朝晩は特に、帰りにバス待ってる時なんか、風が冷たいなって思うようになりましたよ」と。アイスコーヒーを注文すると、「橋本さん、ドラゴンフルーツは食べれます?」と尋ねられたので、「食べたことない気がします」と素直に答える。「あんまりね、甘すぎなくて、さっぱりしてて美味しいですよ」と、出してくれる。買ったものじゃなくて、うちになってるやつだから、遠慮しないで、と。ちょっとキウイに似ていて、たしかにさっぱりしていて美味しい。ママは九州出身で、結婚を機に沖縄に移り住んだ人だ。今から数十年前、お父さんの法事があって里帰りしたとき、せっかくだからとドラゴンフルーツをたくさん買って帰り、仏壇のまわりにも並べていたという。お経をあげていたお坊さんは、読み終わるなりドラゴンフルーツをさし、「これ、何ですか?」と尋ねたそうだ。「読み上げてすぐ聞くもんだから、『あのお坊さん、お経をあげてるあいだもずっと「これ、何かね?」って気になってたのかね』って、大笑いしたんですよ」と、ママは記憶を聞かせてくれる。

 15時、ホテルにチェックイン。しばらく原稿を書いたあと、17時に「パーラー小やじ」へ。5ヶ月以上ぶりに営業再開している。お久しぶりですと挨拶して、ビールを注文。このあと約束があるので、あまりお腹を満たさないようにと、おひたしとタラコの昆布締めをツマミに栗駒山ひやおろしと墨廼江を1杯ずつ飲んだ。感じが悪いかもしれないけれど、飲み食いする時間以外はマスクをつけておく。18時、Uさんのお店の前で待ち合わせ、3人で琉球ハイボール酒場「万次郎」へ。かなりの大箱だけれども、店内にお客さんの姿は少ない。窓や扉はすべて開け放たれているけれど、念には念をと、軒先の席を選んで座り、エアーで乾杯し、マスク会食する。

 20時、お店が閉店になったところで散開し、Uさんとしばらくコンビニの軒先で立ち話。と、そこに近くの新刊書店の店長が通りかかり、お久しぶりですとご挨拶。年明けぐらいに水納島を取材した本が出るんですと伝える。『群像』で連載していたことはご存知ではなかったようで、やっぱり「今度連載が始まります」とメールしておけばよかったなと反省する。小一時間細話したところでUさんと別れ、ホテルで赤ワインを飲みながら『水曜日のダウンタウン』を観た。