12月2日

 5時過ぎに目を覚ます。布団に腹這いになりながら、パソコンを広げ、質問リストを考える。8時過ぎにシャワーを浴びて、質問リストを概ね完成させたところで、部屋を出る。制作の方から「3作品のインタビューとなると、もっと準備の時間があったほうがいいですか?」と言われて、「いやいや、準備はすぐにできるので大丈夫です」と答えていたけれど、かなりギリギリだった。千代田線で西日暮里に出て、京浜東北線に乗り換える。端っこの車両に乗っていると、数駅で端っこの席が空いたので座る。品川を過ぎたあたりで電車も空き始めて、隣りに乗客がいないくらいになってきたので、パソコンを広げて質問リストを見返しておく。

 10時10分に桜木町に到着し、高架下のカフェに入ると、もうFさんは奥の席に座っていた。一対一の状況で、インタビューを始める。最後まで話を聞き終える頃には12時半になっていた。少し「誕生日」という日の話にもなった(もちろんその話を振ったのは聞き手である自分なのだけれど、劇中に誕生日が登場する)。インタビューの候補日として挙げてもらったのは12月2日か3日で、誕生日だとそわそわしてしまう(もしかしたら祝われるだろうかとそわそわするし、祝ってもらっても上手に喜びを表に出せない)ので、2日にしてもらっていた。

「そうだ、橋本さん、靴のサイズっていくつですか?」と尋ねられて、ぎくりとなる。26.5ですと答えると、ああ、僕も26.5なんです、実は来週の公演で、××に靴の販売をしてもらえることになりそうで、26.5ぐらいだとたくさん在庫があると思います、その場所だとかなり安く買えると思います、とFさんが言う。ふと、熊本で××の靴を取り扱っているお店からダイレクトメールが届いていたことを思い出す。それで反射的に「そういえば」と切り出したあとに、しまった、とフリーズする。そのダイレクトメールは、12月の誕生日の客が使える4000円引きのチケットが付いているものだった。それについて話そうとすると、自分が12月生まれだと話すことになってしまう。しばらくふがふがして、「そっか、でも、もう、東京公演は来週なんですね」と言って話を終える。

 今日の仕事はもう終わったようなものだし、誕生日前日なのだからと、ビールとシウマイ弁当を買って浜辺に出て、海を眺めながら弁当を平らげる。「路上」のときはまだ工事中だったロープウェーが完成して、何台も空中を行き交っていた。帰りの電車はがらがらで、座席に座って日記を書いていた。鎌田で乗ってきたおばあさんが、車両すべての窓を開けて、ようやく席に座っている。途中で酒屋に立ち寄って、好きな日本酒を買い求め、14時半に帰宅する。ようやく朝刊を郵便受けからとると、国際線の新規予約を停止すると一面トップに出ている。不安ではあるけれど、どういう権限でそんなことができるのだろう。

 今日のインタビューをさっそく文字に起こし、構成に取り掛かる。18時にはビールを飲み始める。19時過ぎに知人が帰宅するのに合わせて、御徒町の「老酒舗」から漬菜粉(発酵白菜と豚炒め)、素三鮮(ニラ卵海老の水餃子)、酸菜白肉(発酵白菜土鍋)をお取り寄せ(出前館)。前はすぐに届いていたけれど、お店も通常営業に戻って賑わっているのか、1時間待ちだ。19時半に受け取って、晩酌。今日こそ日付が変わるまで起きているつもりが、やっぱり調子良く飲んでしまって、23時過ぎに眠ってしまう。