12月19日

 5時過ぎに目を覚ます。流れてきたニュースに触れて、一体どこが現場だったのだろうかと検索してしまう。そうした情報を流すことも、探すことも倫理的に正しくないことはわかっているのに、検索してしまう。荷造りをある程度済ませておいて、10時過ぎに市場界隈を散策する。「上原パーラー」でネパールカレー弁当をテイクアウトして空港で食べようかと思っていたが、今日は日曜で定休日だ。開店直後のUさんのお店に顔を出そうかと思っていたけれど、こちらも日曜定休だと気づき、ゆるゆると界隈を歩くだけ歩き、10時40分には宿に帰ってくる。

 ホテルをチェックアウトして、ゆいレール那覇空港へ。わりと混み合っている。荷物を預けたのち、「天龍」でゆし豆腐そば定食と生ビール。沖縄県内でもオミクロン株は確認されたとあって、空港にいると少し緊張してしまうけれど、まわりは楽しそうに談笑している(こういう書き方は、他人の心の中なんて窺い知れないのに『繊細な自わたし/鈍感な周囲』という安易な捉え方をしているみたいになってしまうのだけれど、ただ自分の思ったこととして書いておく)。飛行機に搭乗してみるとほとんど満席だ。英語を話している人たちの姿もたくさん見かける。フライト中はiPadで再校を読み返して、どうしても気になる箇所に赤字を入れる。

 17時過ぎに帰宅し、荷解き。18時過ぎにバイク便で校閲の方から指摘の入った再校が届き、受け取る。M-1グランプリの結果を見てしまわないように、ケータイには触れず、ゲラに集中する。知人は20時半頃に買ってくるようなので、その時間に合わせて「海上海」に出かけ、いつもの3品をテイクアウト。お店の入り口にテレビがあるので、入店前に覗き込んで確認するとCMが流れているところだ。まあ、このお店だとM-1グランプリより、もう少し落ち着いた番組を流してるか――と思いかけていたところでCMがあけ、「さあ! 続いて4組目は」と司会の声が聴こえてきて、慌ててイヤホンで耳を塞ぎ、ボリュームを最大にする。動揺したせいかお店を出たところでTwitterを開いてしまい、「男性ブランコ、ダメだったか」と装丁家のKさんがつぶやいているのを見てしまう。

 仕事帰りの知人に、その顛末を話したあと、追いかけ再生を始める。お互いに点数をつけながら楽しむ。2番手でいきなりランジャタイで、大いに笑う。脱落したあとの、オール巨人とやりとりするときの嬉しそうな顔よ。決勝で一番面白かったのはオズワルドで、次にハライチが面白かった。ネタ以外の時間帯での岩井の表情から漂うひりつきも含めて、ああ、M-1ってこういう感じだったなと懐かしさすらおぼえる。最初に思い浮かぶのはチュートリアルだけど、漫才の途中でコントに入るときに、もう、その人らしさ(のように見ている側が錯覚させられるもの)が全面に出ていて、その人の人間味をたった数分で味わい尽くしたような気持ちにさせてくれるネタ。後半の展開が薄かったのを差し引いても余りある面白さ。ただ、会場はまったくウケている気配がなく、点数も低調に終わる。その様子を録画で見ながら、もう時代が変わったのかもしれないなという気持ちになる。そういうギラつきとか、過剰さであるとか、そういうものを求めている人はあんまりいないのかもしれない。